2011年4月23日土曜日

現地レポート26  自宅全壊の中、診療を継続

 4月21()仙台市内の18医療機関を訪問。内1件は自宅が全壊、また診療を再開できていない医療機関も1件あった。
 自宅が全壊した歯科医師は、現在は臨時休診日を設けて自宅の対応をしながら診療をっているとのこと。取り急ぎ仮住まいを見つけて引っ越したが、自宅は取り壊すしかないと話していた。診療所の被害は少なく、診療上困ることはあまりないとのこと。保団連・協会の訪問を受けて「訪問やお見舞金などとてもありがたい」と話され、こうした活動が協会への信頼を高めることにつながることが実感された。
 診療を再開できていない医療機関では、先生が地震以降体調を壊して療養中とのこと。幸い、今回の行動の中ではそういったケースは他になかったが、会員の健康が損なわれている場合もあり、共済利用も含めて個別対応を要する先生も実際にある。今回の行動では共済の加入状況などは確認せずに動いたが、こうした場合に訪問時に可能な限りその場で対応できるよう、訪問先の先生の情報を事前に把握しておく必要があったと準備段階の反省があった。
 また、ある歯科医師の先生は行政への不満を訴えていた。自身は医院・自宅ともほぼ被害はなかったが、近隣で開業している大学の同級生の歯科医師が半壊のため診療再開の見通しがついていない。当初は患者を預かる形で治療していたが、その先生の収入確保のためにもその医院の臨時診療所としてユニットを貸して診療してもらうことにした。しかし、そうした患者に対して、同じ先生が継続して治療しているにもかかわらず初診としなければならないとのこと。請求のためにエックス線撮影も無意味に撮りなおさなければならず、患者負担も増える。非常時にとりあえず医療体制を確保しなければならないときに、行政の対応にはまったく柔軟性がないと批判していた。

2011.4.21
兵庫県保険医協会事務局 納富章宏