2014年9月25日木曜日

避難者健診 参加記

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原発事故による県内避難者を診察する森達哉先生(上)、脇野耕一理事(下)
 東日本大震災・福島第一原発事故避難者に対する「第3回避難者健診」が8月3日、宝塚市・良元診療所で行われた。兵庫県民主医療機関連合会(兵庫民医連)の主催で、協会の池内春樹理事長、脇野耕一理事らが診察し、健康への不安や悩みを聞いた。小児科の診察を行った尼崎医療生協病院の森達哉先生の感想を掲載する。

健康への大きな不安に寄り添いたい

 今回、第3回兵庫民医連避難者健診に参加しましたので、ご報告いたします。受診者は37人、うち小児19人でした。
 私は小児の診察を担当しましたが、やはり保護者の皆さんの健康に対する不安は大きく、「甲状腺が心配」「鼻血は放射線の影響だったのか」「放射線が1番強かった日に、何も知らずに公園で遊ばせてしまったことを後悔している」などの声が聞かれました。
 幸い、大きく体調を崩している児は見かけませんでしたが、倦怠感を訴える児もおり、また全体的にTSH(甲状腺刺激ホルモン)、FT4(遊離サイロキシン)など、甲状腺関連の検査値が各年齢の基準値を超えており、専門病院受診を勧めたケースが、過去の2回よりも多かった印象です。
 甲状腺エコーでは数例に径5㎜以内の嚢胞が見られましたが、正常な頻度なのかは不明です。
 放射線の身体への影響については、現状では「根拠に乏しく、まだはっきりとは分かっていない」と言うしかない段階なのですが、実際に不安に思っていらっしゃる避難者さんたちを目の当たりにすると、そのことがとても歯がゆく、早くデータを集めて結果を出したいという焦燥感に駆られます。
 この健診活動が、避難者の皆さんの身体と心の支えに、そして人類全体の学びの一助になればと心から願います。
【尼崎市 森  達哉】