2011年4月21日木曜日

現地レポート25 「ここで診療を続けていけるのか」

 4月20()は、19日に引き続き、仙台市泉区で全半壊を含む15件の医療機関を訪問した。
 被害報告のない医療機関を中心に訪問したが、ほとんどの医療機関はすでに通常診療を再開しており、大きな被害は少なかった。しかし、やはり4月7日の余震の影響が大きく、昨日訪問した医療機関と同じく、落ち着くまでは修理を見合わせているという状況もあり、見通しがつかないまま損壊箇所がそのままになっているところも多く見られた。中には本震後に専門家に建物を見てもらい大丈夫だと判定されたが、余震でひび割れなどが拡大し、それ以降はまだ見てもらえていないという医院もあった。先生は「このままここで診療を続けていけるのか、不安の中で診療を続けている」と心中を述べていた。いくつかの医療機関は移転も含めて考えているとのこと。
 また、昨日に続きフロア自体が閉鎖されたテナント開業の歯科医院があり、そこは診療再開の目処がまったくたっていない。一概には言えないものの、戸建開業の医療機関の多くが早くから診療を再開していることを考えると、ビル診での開業が災害時に受ける被害は少し様子が違うように感じられる。

 予定の訪問を終え、空いた時間で市内で津波の被害を受けた地域を見て回った。流され着いた車や家がそのままとなっており、信じ難い状況。一帯は広大な瓦礫の原と化しており、1ヶ月経ってなお手付かずのまま放置されているところも多い。瓦礫の山の中には行方不明者もまだそのままで埋まっているだろうとのこと。かろうじて浸水ですんだ家には人も戻っているとのことだが、昼間にもかかわらず住人らしい人影はまったくなかった。地震被害とは質量ともに異なり、長期にわたる復興施策と支援の必要性が痛感された。

2011.4.20
兵庫県保険医協会事務局 納富章宏

保団連 東日本大震災 救援復興FAXニュース 23号

(4/20) 保団連支援隊 岩手県大槌町・山田町を会員訪問

4月20日、岩手支援隊(静岡・村山、保団連・鈴木)は予定していた大槌町、山田町の診療所を訪問しました。
訪問結果は、大槌町は3件を訪問し、お見舞い金を手渡せた医療機関は全壊の2人です。1件は、勤務医の会員を訪問しました。
[大槌町]
M医師は、診療所が全壊し、大槌町で最後まで残る予定の城山にある中央公民館の避難所で診療されていました。M医師からは、今後は、5月6日にアパートの一室を借りて、診療所を再開する予定。避難所での診療については楽しんでやっている。患者は、今はうつ症状など心のケアを必要とする人が増加している。今は、避難所支援に来ている沖縄県医師会の医師等と共同生活で、学生時代に戻った気分でやっている。今後の要望は、私が診療所を再開した後は、避難所で診療できるドクターが1人減るため、それを補う対応が必要だ。との話しを伺いました。
[山田町]
U医師は、診療所が全壊。U医師からは、仮診療所で4月11日から診療所中だが、本診療所についてはまだ未定。見舞金は本当にありがたい。今後の要望については、急には考えられないが、何かできることがあれば可能な限り対応したい、との申し出だけで嬉しい。がんばります。との話しを伺いました。


(4/20) 保団連支援隊 宮城県仙台市を会員訪問

本日は仙台市青葉区、泉区、太白区を3つのグループに分かれて訪問を行った。医療機関数は49件、うち全半壊は6件。概要は以下の通りです。
[青葉区]
本日は、被害状況報告書を提出いただいていない会員医療機関(19件)について訪問活動を行いました。青葉区を担当したのは福元(鹿児島)、上田(宮城)、小林(保団連)の3名。仙台市中心部では医療機関の被害は少ないのですが、地盤の弱い一部の地域やビル最上階(12階)の診療所では全半壊しているケースがありました。お見舞金をお渡しできた先生からは、「高層階のため揺れが大きく、レントゲンが天井にぶつかって壊れる等の被害が出た。また水道やガスが1ヵ月以上ストップしたため、漸く今週月曜日(4/18)から診療を再開することができた。わざわざ遠くから訪問してくれて大変嬉しい」と感謝の言葉をいただきました。また、被害の軽微な医療機関の先生に要望を伺った際にも「特にはないよ。というのも、日頃から保険医協会は頑張ってくれているから」との大変有り難い言葉を頂戴し、宮城県保険医協会の日々の取組みが確実に会員に伝わっていることを実感する場面もありました。
【出された要望】
・ 被害状況に関する報告がまとまり次第、ぜひ県歯科医師会に知らせてほしい。現在、県歯で集約している情報と併せて確認作業を行い、情報交換ができればよいと思う。
・ マンションの1室で開業しているが、今回の震災で上の階からの水漏れ被害にあった。しかし、民間保険に加入していなかったため困っている。様々な器具が錆びたり、現像機が壊れたりする等の被害があり困っている。
・ マンションの1室で開業。診療所(部屋の内部)では特段の被害は無かったが、建物の共有部分(部屋を出てすぐの廊下に亀裂あり)には被害が出ており困っている。
[泉区]
甚大な被害を受けた荒浜地区(撮影4/17
全壊は2件。1件は、壊れた窓からカーテンがむき出しになっていました。もう1件は、本震で弱った建物に余震が来て損害がひどくなったそうで。業者に再建できるか調べてもらっているが、この場所で続けることには不安もあるとの話しを伺いました。
その他は一部損壊などで、建物にひびが入ったり、地盤が沈下したりしていましたが、診療は再開されていました。わざわざ訪問してくれてありがたいと、お茶を出してくださる先生もおられました。
医療機関訪問が終わった後、甚大な被害を受けた沿岸部・荒浜をタクシーで訪問しました。まるで爆心地のようで、がれき以外は見渡す限り何も残っていませんでした。津波の恐ろしさをひしひしと感じさせられました。
[太白区]
診療所が全壊された先生は、「移転を考えている。患者さんのことがあるので近場で捜したい。収入が減るので、大きな不安がある」とのことでした。
また、地震直後に患者さんのことを考えて診療所に寝泊まりした先生もいらっしゃいました。その間、老人ホームを回ったりされていたそうです。
そのほかの先生がたの感想としては、「頼んでもいないのに震災後にチェアを持ってきてくれたメーカーさんがあった。早速購入した」「患者さんが少なくなった。受診をがまんされているのでは。重傷化が心配だ」「地震から1カ月たって、そろそろ疲れが出てきた。しかし患者さんのことを思うと疲れたとは言っていられない。わざわざ協会から来ていただき、それも大きな支えになった」「もう、薬もガソリンもある。うちは診療できているので全壊した医療機関を回ってほしい」などの言葉をいただきました。
また、政府が進める電子化についての批判もありました。「電子カルテは停電になると使えない。紙カルテのほうが、非常時にはずっと優れている」「電子カルテが故障し、メーカーを変えたが、データに互換性がなかった。今までのデータがパアになった。厚労省はデータの互換性を確保してほしい」「医療機器は安くない。その修理代を国が補助してほしい」などの意見・要望をいただきました。

保団連 東日本大震災 救援復興FAXニュース 22号

(4/19) 保団連支援隊 岩手県釜石市を会員訪問

4月19日、岩手協会支援隊(静岡協会・村山俊一、保団連・鈴木沙波)は岩手県釜石市の会員で、診療所が全半壊となった会員を中心に一部損壊となった会員を含め、お見舞い金を持参して、被災状況や復興状況を聞きました。
訪問結果は、全訪問会員数は13人。実際にお見舞い金を手渡せた会員は11人。不在会員は、1人。携帯電話で繋がった会員は1人。釜石は全対象機関を訪問できました。
お見舞い金を受け取った会員の先生からは箱石会長によろしくお伝えくださいと、とても感謝されました。一部損壊の先生は、壁にひび割れがあるなどしても私の診療所の所は問題ない。流されている診療所がある。と口を揃えて言われていたのが印象的でした。
以下、三人の会員から伺った話を紹介します。
神経内科クリニックのH医師は、壊滅地域の鵜住居町(うのすまいちょう)の診療所が完全に流出。3月22日から仮診療所で診療を開始して、一日に50~60人前後を診療(以前から通院されていた患者中心)している。診療所再開に向けて資金面は工面できる見込みがあるが、問題は診療所の用地。跡地には建てられないのでどうするか困っているが、同様の状況にある医院は多いのではないか。
歯科医院のF歯科医師は、待合室の大きなガラスが割れ、壁にひび割れ、キャビネット脱落破損。診療状況は、震災後の一週目は、死体安置所の検体、二週目は、避難所診療所、三週目からは、通常診療をしている。
協会、保団連への要望は、全壊の診療所へのサポート、ケアを行ってほしいこと。
小児科医院のI医師は、児童の心のケアはされているが、学童以下の子どものケアがないので、絵本を集めて保育園などに行っている。津波がトラウマになり、お風呂に入れない子どももいる。釜石では、44人が孤児となった。物資支援も人的支援も5、6月で引き上げるのではないかと心配。以前から医師不足に加えて、津波による影響を危惧している。長期的支援をお願いしたい。
以上です。


(4/19) 保団連支援隊 宮城県仙台市を会員訪問(1)

4月19日は仙台市の太白区、青葉区、泉区を3つのチームで回った。訪問医療機関数は計51件、うち全半壊は8件、一部損壊が43件だった。各区の概要は以下の通り。
○太白区
全壊は1件だけ、あとは外見はきれいでも壁にヒビがあったり、医療機器の修理が必要だったりした。医薬品は十分足りているとのこと。要望としては「一部負担金の猶予か免除かの通知がわかりにくい。患者さん向けの窓口に貼る簡単な説明書きがほしい」「国は税金を免除してくれたり、機器の修理代を援助してほしい」などがあった。
見舞金を手渡すと「私は診療できているので結構だ。ほかの人に回してほしい」など遠慮される先生もいらっしゃった。震災の感想としては「診療を再開するまでの1週間がつらかった。患者さんと接してやっと落ち着いた」「患者さんが待っている。早く再開したい」「今回、命にかかわる仕事をしていることが本当にわかった」「他県からの医療支援に任せるわけにはいかない。聴診器一つで避難所を回っている」「地区医師会や大学病院と連携して在宅診療を始めたい」などの話をいただいた。
被災された整形外科医院
○泉区
全半壊が2件、1件は復旧の見込なしとのこと。もう1件は透析をやっているので午前中だけ患者さんに薬を出している。震災時の話としては「本震より余震のダメージが大きかった。余震でひび割れが拡大した。家屋を修理してもまた余震が来たらどうにもならない」「地震保険の対応がひどい。見舞金ほどしか出なかった」などがあった。
行政への要望としては「避難所の皆さんの健康状態が悪化している。エコノミークラス症候群の症状も出始めているという。是非、避難所の皆さんの健康診断をやってほしい」などがあった。
○青葉区
①K整形外科  休診
②Mクリニック
[被害状況]
機材が動いた程度。診療はすぐに再開できた。震災以降、スタッフが1日も休まず協力してくれている。
③O内科医院
[被害状況]
古い給湯器は壊れたが、医療機器は大丈夫。翌12日から診療を再開できた。停電中(2~3日)は手書きレセプトで対応した。
④S整形外科麻酔科
[被害状況]
レントゲンの一部や建物のボイラーが壊れたが、休診は土曜日(地震後翌日)のみで、日曜夜から診療再開できた。有床診のため、スタッフが泊まり込みで対応した。
[要望]
電気やガソリンの復旧が診療再開には必須だと感じた。
⑤K循環器科クリニック
[被害状況]
若干の停電や断水程度。
⑥I矯正歯科クリニック
[被害状況]
自宅は酷い状況。家の事は考えずに、ひたすら診療するしかない。
[要望]
被災地における歯科患者の支援システムの構築を求めて、矯正歯科関係の学会に要望書を出したが、日歯の対応が鈍いこともあり検討が進んでいない。協会として、可能であれば日歯の後押しをしてほしい。例えば、主治医を失った被災者(矯正歯科の患者)を自分の診療所まで移送する体制さえ確保してくれれば、無償で診療する準備はある。
⑦S歯科
[被害状況]
建物の被害が大きく、無数のクラックが生じた。薬瓶も全て落下し、あたり一面に薬品と割れた瓶の破片が散らばる状況。また、4月7日の余震でもさらに被害が拡大した。
⑧A歯科医院  建物全半壊、体調不良で休診
⑨A歯科クリニック
[被害状況]
自宅はガタガタになってしまったが診療所は何とか無事。
[要望]
訪問してくれたので、一人じゃないと実感できた。本当に嬉しい。これからも宜しくお願いしたい。
⑩Aクリニック
[被害状況]
レントゲンが壊れた。また、プリンタ等の機器も吹き飛んで壊れたので、買い替えの必要が生じた。マンションの1室のため、建物自体もジョイントが壊れる等の被害が出ており不安だ。
[要望]
普段から必要な資料等があれば協会に連絡をしてもらっている。現時点では足りているので大丈夫。
⑪I歯科医院
[被害状況]
スタッフが通勤できなかったこともあり、震災から10日間は休診した。
[要望]
被災地で診療所やすべてを失い、借金のみ抱えて呆然としている先生方が心配だ。現在、当院では歯科医師、歯科衛生士を募集しているので、是非そういった先生を紹介してほしい。そういった意味では、求人のマッチング体制が確保できればとても良いと思う。
⑫G整形外科クリニック
[被害状況]
若干カルテ等が落ちた程度。むしろ4月7日の余震で当ビルに亀裂が入ったのが心配。診療所は今のところ問題なくやれている。
[要望]
お見舞金は、もっと困っている先生方に是非回してください。(お気持ちのみ、ということで見舞金の受け取りは辞退された。)
⑬I内科クリニック
[被害状況]
物が若干落ちた程度で問題ない。
[要望]
お気持ちだけ十分いただきました。お見舞金は、もっと困っている先生方に是非回してください。(見舞金の受け取りは辞退された。)
⑭Oクリニック
[被害状況]
診療所が入っている建物がかなりの被害を受け、1ヵ月以上診療ができなかった。本日(4月19日)から漸く再開ができた。そういった意味では被害が結構大きかった。
⑮O脳神経外科
[被害状況]
地震翌日の3月12日(土)のみ休診。日曜日からは再開できた。
[要望]
沿岸部の先生方が心配。よろしくお願いしたい。


(4/19) 保団連支援隊 宮城県仙台市を会員訪問(2)

[A班(檜山・杉山・川辺)]
19日は朝から雨も降ってきており、肌寒い気温。街を歩いている人たちも春物というよりは、冬物を着込んでの出勤姿の人が目立っている。
今週の訪問対象地域が内陸部ということで、津波の被害が無い地域とのこと。比較的被害の小さな地区との認識でいたが、面談等の出来た医療機関のほとんどで、壁にヒビが入っていたり、医療機器が破損したりと、地震による被害は小さくない。そのような中でも、訪問したほとんどの先生が既に診療を開始しており、口にした言葉が「お見舞金については、自分より被害の大きい先生に廻してください」と辞退されていた(その後、何とか説明をして受け取っていただいたが…)。
自宅も含め全半壊の所もあるなか、患者さんから急かされて早く診療を再開することが、復興に向けたモチベーションになっていたり、診察が出来ないことで憂鬱な気持ちになってしまっていたと言う先生もいて、地域医療を担っている先生方の姿を垣間見ることが出来た。
また、ある内科の先生は「不謹慎だと思うが…」と前置きしたうえで、「開業して、今までの診療のなで直接命に関わる診療をしている認識が薄れていた。今回の震災で、薬ひとつが手に入らないことで、命に関わる患者が、こんなにいる事に驚いた。自分の診察がいかに大切なのかを再認識できる機会となった」と、これからの地域医療を考えさせられる機会となったと複雑な思いを打ち明けてもらえた。
夕方からは、雨が雪に変わって雪見桜となった。
17件訪問中13件面談。全半壊は以下特徴的な報告。
・内科(地区医師会副会長)
 待合室の窓ガラスが破損。建物全体に足場やブルーシートが敷かれており、いまだ修理が完了していない中で、診療を再開していた。震災から一ヶ月経過したが、今後は「地区医師会-大学病院」と連携して在宅患者へのサポートへ力を入れて行きたいとの事。震災直後は沿岸地域の避難所へ支援に行っていたとのこと。
被災された歯科医院(ビル診)
・小児科
外観は目立った損傷は見慣れなかったが、面談の中で、水道が使用できないとの事が判明。建物2階は復旧したが、1階(診察室)はトイレも使用できない。今は診療を頑張りたいとのこと。
・歯科(ビル診療)
テナント2Fで診療していたが、明らかに全壊。内部も損傷がひどい。歯科チェアがどの位使用できる状態なのかも分からないが、この地域で診療を再開することを目指している。
・内科
診療所の被害としては、震災直後は水道が止まって、トイレも使用できない状態だった。患者だけでなく、トイレも使用できないので、1週間くらいは午前のみの診療を強いられた。むしろ自宅の被害が甚大で、家が傾いていて、中に入れない状態。現在は、実家(診療所裏)にいて、何とか生活しているとのこと。
※その他、全体の印象
・ 報道されている医薬品不足を指摘する先生は、ごく一部の薬を除き、一人しかいなかった。ただ、ゴールデンウィークが近付いていることから、2週間分の投薬では、連休中に無くなってしまう患者が現れてきている。
※出された要望
・ 一部負担金の猶予について、通知文章が分かりづらいうえ、患者への周知が出来ていない。窓口でお話しすると初めて知ったという患者が多いので、診療所用の周知ポスターがあれば助かる。
・ “猶予”だと後から請求されるので、今の内に払っておくとの患者もいて対応に困るので、“猶予”ではなく、“免除”にして欲しい。
・ 全壊した診療所を再開する場合に、諸々の届出等を簡素化してもらいたい。
・ 震災被害で、診療所を立て直す場合や、医療機器を買い替える場合(修理も含め)に、税制上でも措置をして欲しい。
[B班(知念・納富・前島)-仙台市泉区(訪問19・面談14)]
19日は、宮城協会の行った被災状況調査への回答があった(安否確認の出来ている)、一部損壊・全半壊の開業医を対象に訪問した。仙台市主要部より北に位置する泉区は、津波の被害は無く、地震動による被害が散在している状況。区内を回った概観では、地盤の状況により局地的に大きな被害をうけた地域もあった。
一部損壊の医療機関では内外壁・駐車場のひび割れ、設備の破損、薬品・カルテの棚が倒れる等の被害が目立った。片付けに追われ、水道・電気が復旧しない中でも、全ての医療機関が早期に診療を再開していた。
ある内科の先生が、「壁のひび割れを補修した途端に余震でまた壊れてしまい、薬もカルテもめちゃくちゃになったのを二度片付けた。薬がないと困る患者さんがいるからやめようとは思わない。」と、語られたのが印象に残った。
また全半壊の医療機関では、壁の崩れと、柱や基礎への損害が深刻なため、仙台市から「危険な建造物」に指定された整形外科や、ショッピングモールの4階で開業しているが、その階から上が閉鎖されてしまい、先生(自宅は気仙沼)との連絡もこちらからは行うのが困難な歯科医院。
外壁全体が崩れ、足場とシートに全体を覆われた医院は、外観からはとても診療を行っているようには見えないが、透析の患者さんを他院へお願いし、外来のみを行っていた。正面玄関は使用不可のため、従業員用の通用口を臨時で出入り口としていた。5・6人の患者さんが待つ待合椅子の真上の天井は崩れ落ち、鉄筋と配管がむき出しになっている。また壁の崩れと、柱や基礎への損害が深刻なため、仙台市から「危険な建造物」に指定された整形外科などがあった。

保団連 東日本大震災 救援復興FAXニュース 21号

4月12日から13日にかけて保団連支援隊2名<小林・耕、堀江(保団連)>は、11日に行った畠山事務局長との打ち合わせをふまえて、県内沿岸部地域の被害状況を把握するため、町役場や医療機関を訪問しました。(4月14日の行動については既報)

被災したS医院
【4/12 宮古市以北地域を訪問】
 岩泉町と田野畑村、普代村、野田村を訪問し、岩泉町と田野畑村では直接役所の担当者からお話しを伺うことができました。
<岩泉町>
 町役場の担当者からは、沿岸部の小本(おもと)地区で甚大な被害があったが、町役場や済生会岩泉病院は機能しており、現在6カ所の避難所に対して、保健師が巡回面談を行い、ニーズを把握しながら対応するなどの活動をすすめているとの話しを伺いました。
 小本(おもと)地区で床下浸水されたS医院が現在避難所から毎日通いながら診療を再開されています。S医師からは、現在、薬剤を注文してもなかなかとどかないとの話しを伺いましたので、支援物資からロキソニンやマスクなどお渡ししました。在庫が少なくなっていたとのことで、大変喜ばれました。
<田野畑村>
 村役場及び保健センターの担当者からは、国保診療所と保健センターが連携して、震災当時から現在まで医療、保健活動を行っており、一定機能しているとの説明を伺いました。鉄道の復旧が一部にとどまっており、宮古市や久慈市の医療機関への通院が困難なケースもあるとのことで鉄道の復旧がまたれる状況でした。
 盛岡市内からの主要幹線道路は、ところどころ工事中のため片側交通規制などがありましたが、ほぼ問題なく通行可能でした。ただし、断崖で有名な北山崎などに向かう道路は通行止めとなっていました。

【4/13 大槌町を訪問】
 町内は甚大な被害を受けており、高台にある中央公民館にある災害対策本部を訪問し、会員の安否を確認するとともに、避難所で医療活動を行っている先生を訪問しました。
M医師は、障害者支援施設四季の郷と災害対策本部のある中央公民館で医療活動を行っているとのことでした。当日は、中央公民館ではなく四季の郷の方で医療活動をされているとのことで、直接お会いすることができませんでした。

被災した県立大槌病院
  弓道場が避難所になっており、そこに避難され、同地で医療活動を行っているU医師にお話しを伺うことができました。
 U医師からは、避難当初は、一人で対応していたが、その後長崎大学とAMDAの医師の協力を得て、現在はある程度落ち着いてきている。検査ができないため、慢性疾患のケースでどのような経過をたどってきたのか調べられないのが心配である。現在、釜石病院の入院が機能していないので大変だが、現在宮古病院で対応してもらっているなどのお話しを伺いました。