2015年1月25日日曜日

阪神・淡路大震災20年 神戸と西宮でメモリアル企画

阪神・淡路から東日本・原発事故へ――
語り合い経験つなげる

 協会は、震災20年となる1月17日、神戸でメモリアルシンポジウム「巨大災害と人権保障」、西宮で「20年の集い 阪神・淡路大震災―東日本大震災―原発事故」を開催。あわせて400人が参加し、企画を通じて震災からの20年を振り返った。
 神戸会場では、ライターの古川美穂氏、住江憲勇保団連会長、武村義人兵庫協会副理事長、ひょうご福祉ネットワークの正津房子氏の4氏が講演。「創造的復興」の名のもと震災に乗じて「大資本が食い物にする」被災地の実態、協会・保団連の粘り強い運動によって公的保障を勝ち取ってきたこと、高齢化が進む復興住宅入居者の窮状、被災者に寄り添った復興の大切さが語られた。
 西宮会場では、「震災経験を語り継ぐ・風化させない・新たなつながりを拡げる」ことを目的に、阪神・淡路および東日本大震災についての報告や、京都大学原子炉実験所助教の小出裕章先生と映画監督の鎌仲ひとみ氏の特別講演・対談、被災地の医療・社会保障を考えるパネルディスカッション、心肺蘇生実習コーナー、震災の記録展示、被災地の物産品展など、さまざまな企画が行われた。

西宮会場「20年の集い」
東日本・原発事故と結びつけ人権と社会保障を考える

 協会と協会西宮・芦屋支部が、西宮市役所東館で開催した「20年の集い 阪神・淡路大震災―東日本大震災―原発事故」には、医師・市民ら340人が参加した。
 京都大学原子炉実験所助教の小出裕章先生と映画監督の鎌仲ひとみ氏が、原発事故に対する電力会社・政府やマスメディアの責任問題、市民一人ひとりが原発をなくすために行動することの大切さなどついて対談した。
 西宮市・広川内科クリニック院長の広川恵一先生が、阪神・淡路大震災における開業医師と保険医協会の取り組み、ボランティア・看護師の役割などにつ
いて、福島県南相馬市・大町病院院長の猪又義光先生と看護部長の藤原珠世氏が、東日本大震災において医療拠点病院として果たした役割と、復興に向け多職種で協力した震災後の取り組みについて、それぞれ報告した。
「被災地の医療・社会保障を考えるパネルディスカッション」では、青森市・大竹整形外科院長の大竹進先生、元岩手県立高田病院院長の石木幹人先生、岩手県立高田病院臨床心理士の行本清香氏、元宮城県気仙沼市立本吉病院院長の川島実先生、松島医療生協松島海岸診療所歯科の井上博之先生、福島医療生協いいの診療所所長の松本純先生が、東日本大震災がもたらした被害・人格権侵害や被災者の健康状態、復興に向けた取り組みなどについてそれぞれの立場から発言。
 東京都中野区・中村診療所院長の中村洋一先生は、阪神・淡路大震災ボランティアの経験から作成した「災害時医療対策マニュアル」や「中野区医師会災害対策本部」の取り組みについて報告した。
 兵庫県災害医療センター顧問の鵜飼卓先生は、阪神・淡路大震災以後の災害医療体制の改善点と今後の課題について、日本福祉大学名誉教授の金持伸子先生は、公営住宅における高齢化問題などについて報告した。
 心肺蘇生実習コーナーでは、西宮市・ユニコの森・村上こどもクリニックの村上博先生、西宮市・あしだこども診療所の芦田乃介先生とスタッフが、市民に懇切丁寧な実習を行った。
 講演の合間には二胡奏者の劉揚氏が「南相馬市民の歌」などを演奏した。