2011年3月30日水曜日

東日本大震災支援と地域経済・雇用・社会保障を守れと、3月27日(日)に兵庫県民集会


協会を代表して発言をする
池内理事長
 東日本大震災支援と地域経済・雇用・社会保障を守れと、兵庫県民集会が327()に神戸市内のメリケンパークで開かれ、2,500人が参加した。保険医協会からは、池内春樹理事長、八木秀満・武村義人・加藤擁一・吉岡正雄副理事長、川西敏雄理事と事務局11人、合計17人が参加、また藤末衛評議員が全日本民医連会長として来賓挨拶した。

 発言にたった池内理事長は、「東日本大震災の犠牲者の皆様に心から哀悼の意を捧げたい。被災者の方に少しでも役立つことは何でもやろう。いまこそ憲法13条幸福追求権と25条生存権の精神を輝かせる時。国民に負担をさせるのではなく、法人税減税中止、240兆円にのぼる大企業の内部留保金活用などで復興支援の財源ができる」と震災復興支援を力強く訴えた。

司会を務める川西理事
藤末衛全日本民医連会長・協会評議員は、自身の被災地救援に触れつつ、「災害による危機が訪れたときに国の政治と国民を守るべき諸制度の値打ちが試される。まともな社会保障、子どもと高齢者にやさしい福祉のまちづくりこそ災害への最大の備えだ」と訴えた。集会では川西理事が司会を務めた。

 集会後協会は、元町商店街前で震災支援街頭募金行動を行い、役員が次々にマイクを握って協力をよびかけ、1時間足らずの間に34,000円が寄せられた。集会参加者全体では三宮駅、神戸駅周辺にも分かれて募金活動を行い、全体で46万円の募金が寄せられた。



 
集会に参加した八木副理事長ら
藤末衛全日本民医連会長
  
街頭募金を訴える武村副理事長
ビラを配布する加藤副理事長
  
街頭募金を訴える吉岡正雄副理事長



2011年3月28日月曜日

農民連が宮城協会へお米を支援

328()、長野県農民連(農民運動連絡会)から宮城県保険医協会にお米30㎏が届けられた。
全国農民連は物心両面とりわけお米・野菜・果物などの支援物資を被災地に届ける活動をすすめている。
阪神・淡路大震災の際、農民連から兵庫県保険医協会に支援の申し入れがあり、民間病院に対して物資支援をいただいた。今回、元兵庫県連事務局長・植村一郎氏から、東日本大震災被災地の民間病院などへの支援の申し出をいただいたもの。農民連では、個々の病院にも車で直接届けるとしている。

福島第一原子力発電所に対する声明文

兵庫協会は3月26日、福島第一原子力発電所事故に対する声明文を発表した。
→PDFはこちら

福島第一原子力発電所事故に対する声明
―避難住民の健康管理に責任ある対応を―

兵庫県保険医協会理事会

3月11日に起こった東日本大震災により、東京電力福島第1原子力発電所は、原子炉の冷却機能が失われ、制御不能となった。地震から2週間以上経つが、事態は改善の見込みがたっていない。原子炉周辺では高濃度の放射線量が観測され、関東地方でも水道水や農産物から基準値以上の放射性物質が検出されており、広範囲・長期間にわたる健康被害、環境汚染が予測される。未曾有の原発事故に対し、専門家の英知を結集して、大量の放射性物質が外部に漏れる事態を防ぐことが緊急に求められている。
こうした中、原発周辺で今も生活している屋内避難者及び避難所等に移った住民に対する健康管理について、政府・東京電力が責任を持って行うよう強く求めるものである。
住民は、プルトニウムの危険性、放射線汚染状況などについて、充分な情報が開示されず、不安を高めている。東京電力、原子力安全保安院を含め、不安に十分応えられるような正確かつ迅速な情報提供が不可欠である。
ヨウ素剤の活用など、住民の被ばく拡大を防止し、被ばく者が適切な治療を受けられるようにせねばならない。また、病院から避難した患者の死亡、屋内待避とされた30km圏内の地域の医療機関に充分な医薬品が届かないといった原発事故による二次被害も起こっている。国民のいのちと健康を守る医療供給体制の構築が必要である。
当会は、阪神・淡路大震災を経験したものとして、2007年の中越沖地震における柏崎・刈羽原子力発電所の放射能漏れ事故の際、原子力発電所の地震対策について抜本的是正を行うこと、原子力施設の防災・安全体制の調査・改善すること、原子力政策の根本的見直すことを求めてきた。
 しかし、国は充分な検証を行わず、プルトニウム・ウラン混合物混合酸化物(MOX)を再利用するプルサーマル発電も開始した。爆発の起きた3号機では、昨年9月からプルサーマル発電が開始されており、燃料棒に含まれるプルトニウムが外部に漏出すると、さらに重大な深刻な影響が及ぼされることとなる。
地震大国日本で、電力を原子力発電に依存しない政策への見直しが必要である。
この立場から、政府に対し、下記事項を要望する。


一、避難による二次被害も含め、住民に必要な検査・医療を提供すること。
一、今回の原発事故に関わるすべての情報を正確かつ迅速に公表すること。
一、国内にある全ての原子力発電所の防災・安全対策を再調査・再検討し、早急に改善策を講じること。
一、原子力発電所に依存しない電力政策へ根本から見直すこと。

2011年3月26日土曜日

レポート⑰ 宮城協会・松浦副理事長に同行し、医療機関訪問約50件

 石巻市の医療機関訪問の二日目、宮城協会の松浦副理事長も同行され、二手に分かれて約50件を訪問した。津波に直接襲われた地域は、医療機関の周囲は瓦礫に覆われ、未だ道から海水が引いていない所もある。
 海からかなり離れている地域でもほとんどの医療機関が床上まで4日間ほど浸水したままだったとのことで、床には泥が堆積し、医療機器やチェアーは復旧不能の被害を受けていた。
 電気はようやく前日から復旧した地域が増えて来たようだが、水道の復旧は5月になるとのことで、話をお聞き出来た歯科の先生はみなさんそれまでは再開出来ないと言われ、再開しても亡くなった患者さんが多くとても元通りにはならないと話される先生もおられた。
 また、診療所も隣接する自宅も浸水67歳の産婦人科の先生には、床一面が泥の診療所を案内いただいたが、『後継者もいないので、全ての医療機器を買い換えてまで続ける気にはなれない、閉院しようと思っている。同じような立場の者がグループで診療出来れば良いが…」と話された。

 2011.3.25
兵庫県保険医協会事務局次長 黒木直明

2011年3月25日金曜日

現地レポート16 宮城協会で医療機関の訪問

 宮城協会が連絡がとれていなかった石巻市の医療機関を訪問した。
 訪問した18医療機関のうち面会出来たのは7人、北上川河口付近の津波に襲われた地域は潮の臭いが満ち、道には船と車が折り重なり泥と瓦礫に埋もれていた。かろうじて建物が残った診療所も床は泥に覆われ、辺りに人の気配はない。
果たして津波に覆われる前に避難することが出来たのか。
 自身の娘さんとお孫さんを亡くされた石巻市医師会の新妻事務局長にお伺いしたところ、約百人の開業医会員のうち一人が亡くなり、一割が再開の目処が立たないという。
 面会出来た小児科の先生は、地下になっている診療所は4日間水没し、電気が通じた今日になって、ようやく自らポンプで汲み上げたとのこと。それでも全てのものが海水と泥にまみれ、数カ月は再開出来ないと話した。
 そのような状況の中、壊滅的な被害を免れた医療機関は「患者さんが待っていると」今週になって部分的に診療を再開している。お会い出来た歯科の先生も、再開するためにライフラインの回復を待ち望んでいた。
 甚大な被害を受けた医療機関の再建、再開に公的支援が急がれる。

2011.3.24
兵庫県保険医協会事務局次長 黒木直明

津波に襲われた地域の惨状

2011年3月24日木曜日

現地レポート⑮ 宮城協会拡大総務会議を開催


 23日、宮城県保険医協会で拡大総務会議が開催、この間の活動や出席者の地域の状況、当日までに会員1632人のうち、無事798人、不在221人で、連絡がつかない会員が617人であることが報告された。
 また、一部負担金や概算請求、確定申告の取り扱い、医療支援のボランティアの受け入れ始め今後の対策について話しあわれたが、何よりもまず会員の安否確認が重要で、そのためにも保団連の現地対策本部の設置と支援に大きな期待が寄せられた。 

2011.3.24
兵庫県保険医協会事務局次長 黒木直明

すべての被災民間病院機関への公的助成に関する緊急要望書

兵庫協会は3月22日、東日本大震災におけるすべての被災民間医療機関への公的助成に関して、政府・厚労省、兵庫選出国会議員に以下の緊急要請書を送付した。
→PDFはこちら


東日本大震災におけるすべての被災民間医療機関への
公的助成に関する緊急要望書

兵庫県保険医協会理事長 池内 春樹

 東日本大震災にたいする復旧・復興に敬意を表します。
 さて、被災者と被災地の地域医療確保は緊急の課題となっています。
 阪神・淡路大震災では、被災医療機関への復旧・復興支援策として、民間病院の救急部門への災害復旧費の国庫補助をはじめ、2次救急輪番群参加病院、医科診療所にたいし、医療施設近代化施設整備事業の拡大適用により230医療機関に94億円余の国庫補助が行われ、被災地の医療機能回復に一定の役割を果たしました。
 しかし、①民間病院への災害復旧費は救急部門にしか適用されず、②医療施設近代化施設整備事業の補助対象は、「政策医療-救急医療参加」「名義一致」を条件に、2次救急病院群輪番制参加病院、在宅輪番、休日当番等出務医療機関には適用されたものの、一人法人医療、産婦人科医療機関、歯科医療機関が除外された結果、全半壊・一部損壊医療機関の1割弱にしか適用されず、不十分な適用でもありました。
 そのため、多くの医療機関が自力再建を余儀なくされ、また、再開を断念した医療機関が生まれるなど、被災住民のいのちと健康を守るうえで十分な役割が果たせませんでした。
 東日本大震災は、阪神・淡路大震災を上回る甚大な被害をもたらしています。阪神・淡路大震災の教訓を生かして、被災者の医療、被災地の地域医療を担うすべての医療機関の速やかな通常機能の回復、再建で、すべての被災者が安心して必要な医療を受けられるよう、すみやかな対応が求められます。
 つきましては、ただちに阪神・淡路大震災を上回る公的助成を実施し、対象は被災したすべての民間医療機関とすることを強く要請します。



1、被災民間医療機関の解体・撤去にたいし公的助成を行うこと。
2、全半壊・一部損壊、流失、焼失した医療機関の復旧、復興のため、法人・個人、病院、有床診療所、無床診療所、歯科医療機関を問わず、すべての被災医療施設、設備にたいし、再建に見合う公的助成を行うこと。
3、長期、無利子の緊急融資を行うこと。

診療報酬等の概算請求の取扱いについての要請書

兵庫協会は3月22日、東日本大震災における診療報酬等の概算請求の取扱いについて、政府・厚労省、兵庫選出国会議員に以下の要請書を送付した。
→PDFはこちら


東日本大震災における診療報酬等の
概算請求の取扱いについての要請書

兵庫県保険医協会理事長 池内 春樹

 大震災への貴職の救援活動へのご尽力に感謝申し上げます。
 さて、厚生労働省保険局医療課が3月15日に発出した事務連絡「東北地方太平洋沖地震及び長野県北部の地震による被災者に係る一部負担金等の取扱いについて」の中で、「診療報酬の請求等の取扱いについて」は、追って連絡する予定であると通知しています。
 阪神・淡路大震災の際にも同様の事務連絡が1995年2月7日付で発出されていますが、その内容は、「平成7年1月診療分に係る診療報酬等の請求等については、…被災により診療録を焼失又は棄損した場合、あるいは地震発生直後における診療行為については十分に把握が困難である場合」として、「1月16日以前の診療等分については概算による請求を行うこと」、「1月17日以降に診療等を行ったときは…原則として通常の手続による請求を行うこと。ただし、患者数等から診療実態が平成17年1月16日までと大きく変動していない旨を届け出たものにあっては、1ヶ月分を通じて概算による請求を行うことができるものである」としています。
 しかし、今回の東日本大震災においては、阪神・淡路大震災の際と同様の内容であればきわめて不十分です。津波等によって診療録等の流失・棄損などの被害を被った医療機関だけではなく、診療録等の棄損等の直接的な被害はないにも関わらず、福島第一原子力発電所の未曾有の大事故による規制等で診療が出来なくなった医療機関、周辺住民が避難したため3月以降も通常の診療を続けることが出来なくなった医療機関も多数存在します。
 これらを鑑み、3月分以降の診療報酬の概算請求の取扱いを通知する場合は、診療録等を流失や棄損したか否かに関わらず、通常診療が不能に陥った被災地域のすべての医療機関を対象とすることを強く要請するものです。

現地レポート⑭ 広川恵一先生から   

東北関東大地震/宮城協会・仙台訪問報告
               広川内科クリニック 広川 恵一

このたび保団連医療支援チームとして現地に向かいました
メンバーは
和歌山保険医協会 小野田理事・上野事務局長
兵庫県保険医協会 足立事務局員・横山事務局員と私です
訪問先は宮城県保険医協会と仙台周辺
目的は
①宮城協会を中心とした被災状況をうかがう
②医療機関を中心とした被災状況とニーズを知る
③被災状況みききする中で阪神淡路大震災と比較しながら課題を検討しあう
④行政のとりくみ状況・医療供給状況・課題をうかがう
⑤必要であれば被災地診療の足りないところの協力を行う
⑥避難所を訪問し状況について現地のスタッフから話を聞く
⑦地元の手による拠点づくりへの協力と今後にわたる関わりの可能性を考える

日程は
和歌山協会は3月20~21日
兵庫協会は当初3月20~21日を予定していましたが
現地で一旦20~23日と最終的に上記目的から20~21日としました

以下報告です(半括弧はうかがった話の内容です)

3月20日
訪問先
宮城県保険医協会事務局・仙台医療館・避難所(鶴巻・岡田小学校)・県庁・協会事務局

<山形から仙台に>
①陸路日本海回りで山形(足立・横山事務局員)、空路で伊丹(7:25am発)から山形に(広川)
②山形空港で神戸からの足立・横山事務局員2名と合流
③薬剤・医療資機材搬入の車で一部山形道を通って仙台に
④緊急車両(県警に申請)で山形・東北高速道路使用(無料)・給油可能(20L午後5時まで)

⑤途中一般道では200~300台の給油まち(20L・3000円まで)のところが見られる
⑥コンビニエンスストアーは閉店~制限した開店・開店まち客が列を作る
<和歌山県保険医協会>
①宮城保険医協会で和歌山協会の小野田協会理事・上野事務局長と合流
②小野田Drの話に今後予想される東海・東南海・南海・中央構造線地震への備えを感じた
③小野田Drをはじめとして和歌山県協会との研究会や連携は大切と考える
④阪神淡路大震災-東日本大地震-予想される東海・東南海・南海・中央構造線地震
 
<宮城保険医協会>
宮城事務局長・野地事務局長より説明
1) 会員の被災状況は入手できていない
2) 23日から現地対策本部となる(それまで会長の医院が対応)
③宮城協会会長・北村神経内科・仙台医療館に移動(仙塩街道:仙台と塩竃のほぼ中間地点)
④途中仙台医療館の手前の七北田川の川堤に溢水あとがみられる
⑤仙台医療館500mまで津波が押し寄せたとのこと

<宮城協会会長・北村先生(北村神経内科・仙台医療館)宮城野区>
①会長の医院に移動し会長から現地の状況など説明を受け懇談
1) 気仙沼で会員が2人亡くなった
2) 水没・損壊した診療所が多い
3) 震災後スタッフとも泊まり込み・2日前から水道が使える
4) 3日間は薬手渡すだけの診療体制・後片付けに追われる
5) 会員の安否確認とニーズの把握に努めたい
⑤被災保険医療機関の診療報酬概算請求制度について説明



<避難所訪問>
鶴巻小学校と岡田小学校の避難所2カ所で診察・外傷処置・健康相談など
[鶴巻小学校避難所]
①水は2日前から出るようになった
②支援団体は滋賀県健康福祉部・新潟県・仙台国立医療センター
③医療関係では仙台医療センターのメンバーが入っている
④滋賀県のメンバーに薬剤師がいて車からの必要薬剤取り出しにとても助かった
⑤外傷処置では津波で両親を助け子どもを抱きかかえて下腿切傷処置が不十分なまま化膿





[岡田小学校避難所]
①水はまだ出ず
②体育館で「血圧が高い人や診察の必要な人は」と声をかけ手の上がったところに対応

③降圧剤がない・切れたという人たちが目立つ
④喘息で薬がない(津波で取り出せなかった)人など
⑤アトピー・花粉症の子どもの母親が困っているなど
⑥医療班としては広島医療センターが入っている



[両避難所の特徴]
①両避難所とも医療ニーズは極めて高い
②診察・投薬・処置と安心をはかるゆっくり話を聞く対応が必要(医療ニーズ)
③阪神淡路大震災でも同様だったが内服していた薬をなくしている人が多い
④この時期になると切らしてきている(そのことで不安をもっている)人が多い
⑤降圧剤・経口糖尿病薬・喘息治療薬・抗生剤・消毒薬・ガーゼのニーズは高い
⑥北村神経内科の長島看護師とペアを組み診療させてもらった
⑦ナースのサポートで言葉の面でも気持ちの面でも安心感がありスムーズにすすめられる
⑧避難所でナースと震災後はじめて避難していた人と安否確認できる場面もあり
⑨避難所では複数の看護スタッフが求められる(その必要性がわかる人は極めて少ない)

⑩仙台市内は落ち着いているが沿岸側は津波被害甚大(仙台以南は津波の経験が余りない)
⑪避難所の人たちの多くは津波で車・自宅が押し流されている~使えない状態
⑫家族が亡くなっている人が多い
⑬神戸から来たと伝えるととても喜んでくれる
⑭全国からの支援を心からうれしいと言ってくれる(みな同じ気持ちだと思われる)
⑮津波が町全体を襲ったところの地元医療機関は被災状況は極めて大きい
⑯かかりつけ医療機関の機能回復の人的・物的支援による速やかな通常診療復帰が大切

⑰避難所では診療再開医療機関の情報の案内徹底と搬送を含め受診すすめることが大切

<県庁訪問>

①県庁で上原災害医療コーディネーターとの被災地の課題について懇談(会議中も余震)

②依頼を受けて東北大学から市を除く県全域のコーディネーターとしてつめている
③県保健福祉部医療整備課地域医療班の職員さんに代わり多忙な中時間をとってもらった

1) D-MAT・J-MATなど災害医療機能のシステムが機能した
2) 避難所からのニーズがつかみにくい
3) 災害による外傷・疾患に加え、慢性疾患の悪化、新たな疾患への対応が今後必要
4) 通常診療への漸次以降が大切 
5) 医療ボランティアの調整に手間がとられセクリタリー機能のあるボランティアが必要6) 災害対策は県の対策と市の対策がそれぞれ別
7) 行政のできることは対応できるが要望がさまざまで行政のできないニーズも出される
8) 行政職員はほんとによくやっている
9) とにかく大変な状態で報告書も書けない状態 など状況についてお話を聞く
10) 阪神淡路大震災の経験など伝えてほしい
④現場での現地医療機関との地域医療復旧状況の調整会議など調整機能の発揮が必要
⑤避難所へのニーズの積極的な把握を課題とするセクションの設置の必要
⑥阪神淡路大震災同様さまざまな現地コーディネーターの心身の健康をまもる部署が大切
⑦避難所ニーズの正確な把握とその情報の発信は看護師の役割が大きいことなど伝える



<宮城県保険医協会事務局>

①県庁訪問のあと宮城保険医協会事務局で北村会長・野地事務局長と検討会
②持参した薬剤(費用は保団連)を宮城協会に手渡し
③薬剤については先発メーカーのもので使用頻度の高いものとした
(薬剤・医療機材一覧は別記)

                                                                    
<和歌山協会との協力>

①和歌山協会2名と兵庫協会3名で訪問・避難所での治療など機能的に対応できた
②小野田Drより宮城協会に多数の医薬品・食料品の提供あり
③宿泊は避難所予定していたが疲労と翌日の予定もあり宿舎を確保することとした
④仙台では宿舎は満杯で水・ガスのでない施設が多くみられた
⑤午後6時に和歌山協会の宿泊を仙台に兵庫は山形駅前にとり協会事務局で解散6:00pm
⑥移動には絶えずガス欠に気を配る(高速自動車道でも給油は5PMまで)
⑦移動車中では訪問のまとめ・確認を行い宿舎では報告書作成

3月21日
訪問先
仙塩街道・多賀城市津波被災地・坂総合病院・避難所(天真小学校)・亘理避難所(吉田小学校)

<山形から仙台の状況>8:00am出発

①山形市内は目につく被害なし
②道路寸断のため山形道から一般道・東北道を通り市内国道45号線(仙塩街道)で塩竃に

③途中の多賀城市は幹線道路・通りの商店など津波での被害甚大
④破損した車が多数道路際に移動され国道は機能している

⑤LPガスは供給できている
⑥ガソリンスタンドは閉店箇所多く(在庫なし~損壊のため)
⑦こちらでも給油のため2~3kmの歩道上に並んでの車列がみられる






<塩竃・坂総合病院(350~緊急増床で390床)>

病院2階の対策本部は30人ほど詰めており情報をスクリーンに提示するようにしている

対策本部・副院長の高津Dr(産婦人科)に被災状況・医療内容の特徴と支援状況を聞く
「私も保険協会の会員です」とのこと多忙な時間を割いて説明していただけた
1) 自ら地域の被災状況を見て回ったが多賀城市は水没していた
2) 病院はもともと地下水をくみ上げていてその水が使用できた
3) ガスが使えず中央材料室機能不能で予定の3件帝王切開術以後近隣医療機関と協力
4) 病院は24時間体制で対応している
5) 院搬送は30名で死亡した人は18人(震災当日8人)
6) 看護体制は3から2交代にしている(自宅から移動困難・体制上・ガソリン不足などで)

7) 宿泊は4月開所予定の保育所など使っている
8) 全国民医連・各院所からの救援・応援が翌日から入り対策本部を中心にすすめている
9) 意見はいろいろあるが通常体制に明後日から戻す方向
10) 神戸協同病院・上田Dr(20日より現地)が前日震災についてミニレクチュアーがあった

研修医の佐藤Drに聞く

1)検死では多くは溺死で医師会を通じて協力した
2)震災当日から体温22~23℃の低体温症での搬送が多くうち多くの人を救命できた
近隣の医療機関と連携し(燃料事情解決する中で)一刻も早い通常診療体制復帰が望まれる
坂総合病院から車で10分の天真小学校避難所(高台にあり周囲は水害被害甚大)に






<天真小学校避難所>

①救護所で上田Dr と合流/現地の状況を聞く
1) 被災地域が広範囲
2) 石油が入らないことが今回の特徴の一つであり大きな問題
3) 低体温症での搬送受診が多いのも特徴
4) 早急に通常診療体制に戻すようすすめることが大切







天真小学校から仙塩街道を経て仙台市内に

<仙台市内>
①マスク・リュック姿の人が多い
②ここでも開店待ち客が列を作る
③アーケード街は閉店のところが多い・路上での弁当販売・再開始めたところもあり
④市民を励ます張りがあちこちにみられる
⑤仙台駅は機能せず電車発着はなく路上の車台数は少ない
⑥駅前の階段は破損あり使用禁止のテープ
仙台から国道4号線で名取市を経由東部自動車道通り亘理ランプから吉田小学校避難所に
①沿岸沿いの広範な地域に水害跡が残り損壊家屋はもちろん自動車の撤去は手つかず
②盛り土の上の東部自動車道が津波を遮っているが西側にも一部水害のあとがみられる

<亘理・吉田小学校避難所>

避難所・救護室の亘理町保健福祉課の星野保健師から状況を聞く
1) 初日には収縮期血圧200を越える人が多かった
2) 低体温症の人は救急車要請して病院受診しても満床で返され一生懸命温めて助かった

3) 血圧が高い状況は医療支援の先生方(岐阜県医療センター)が来られて落ち着いた
4) まだインスリンがなく困っている
5) 食事は午前10時に一日2食分だけがまとめて配給される
6) 水は出なくて歯ブラシ・紙コップがなく行政を通して要請しているが入らない
7) 地震・津波の直後は靴をなくして裸足の人が多かった
8) 水はプールの水を使っている
9) 1700名避難され今日は550名で親戚に家などに移られあとは住宅のない人・高齢者に

10) 学校がはじまればどうなるのか心配
11) この地の特産はイチゴだが塩害で『もう2~3年は無理かな』と農家の人は元気ない彼女は在宅の女性を急いで自分の車に乗せて避難中「もう助からない」と思ったとのこと
静かに控えめに語るその姿勢にこれから長期にわたる暮らし再建の確かな力を感じた
<帰路:亘理町から白石ICに入り東北・首都圏・東名・名神高速道路>
3:15pm吉田小学校避難所を出発、11:00pm牧之原SAで仮眠し3:00am出発7:00pm西宮帰着

足立・横山事務局員は10:00amからの事務局会議で報告に
二人の3日間の走行距離2000km超!
おつかれさまでした
<今後>
①拠点としての宮城協会・保団連現地対策本部と兵庫協会・対策本部の連携課題を明らかに
②現地対策本部に協会事務局から常時派遣・現地での活動に協力・ニーズ把握・情報の発信
③避難所・仮設住宅・転居者(兵庫など)のニーズ健康管理の課題について検討する(※)

④避難所・仮設住宅の医師歯科医師・薬剤師・看護師による訪問は重要な課題
⑤被災医療機関の安否確認(かなり把握されている)と直接的なニーズの把握・情報の収拾
⑥阪神淡路大震災の検討・東北関東大地震対応の中で東海・東南海・南海地震に備える

⑦阪神淡路大震災と比べ広範であり自治体のそのものの被災であることに留意が必要
⑧協会役員の現地訪問を適宜行い連携と協力を具体的にすすめ復旧・復興に協力する
⑨原発事故については情報収集と対応部署でのとりくみが必要
⑩放射線の研究会(研究部・各支部・薬科部)の開催1)会員・スタッフ対象・2)市民対象

⑪「被災地での生活と医療と看護」(1000部増刷・3月24日発行)の紹介・普及
(※)当院近隣医療機関でも当院でも被災地から受診されています

2011年3月23日水曜日

現地レポート⑬ 福島協会、宮城協会を訪問(3/23) -支援の第三陣


 今日から現地に向かった兵庫協会事務局、保団連事務局で構成する第三陣が福島協会に到着。水と食品を届けた。

 「ガソリン不足、鉄道不通のため出勤出来ない事務局員もいる。FAXなどで安否確認含めて連絡がとれたのは三分の一程度しかいない。報道されていないが、沿岸部はかなりひどい。対象は400件ほど。今は物よりも安否確認に出ていく人が必要だ。」(菅原事務局長談)

 その後、宮城協会(仙台市)へ。街は見た目には変わらないように見えるが、協会が入っているビルもヒビが入っている。今日も余震が3回あった。今夜、拡大総務会議が行われる。会議室の壁には会員情報や被災現場の写真が貼られている。

2011.3.23
兵庫県保険医協会事務局次長 黒木 直明

現地レポート⑫ 坂総合病院(宮城県塩釜市)を訪問(3/21) -支援の第二陣


対策本部副部長を務める
高津政臣副院長(中央)
  保団連医療支援チームは21日、宮城県の沿岸部で津波被害の大きかった地域にある坂総合病院(塩釜市)に被災状況など聞き取りを行った。
 対策本部副部長の高津政臣副院長(産婦人科)は、「震災当初は、自家発電の電力とポンプでくみ上げたわずかな水で終日診察を続けた。近隣の開業医は、津波による被害で診療が行えない状況もあり、お産も受け入れていた。病院に搬送されなくなった方は、震災直後8人、その後10人で計18人。多賀城市が津波により水没、数百台の車が横転している。全日本民医連の支援を受け、トリアージブースを確保、震災後10日経ち緊急度は下がってきている。今後は、早く通常の診療体制に戻すことが課題。そのためにも開業医と連携して地域医療を確保していきたい」と述べた。
 検死を行っていた同病院佐藤明医師は「検死は12人、多くは溺死だった。身元は所持品などで確認した。搬送患者の多くは低体温患者、体温23?24度の重症者も搬送された。病院では24時間体制で対応している。ベット数も通常の350床から緊急で40床増やし390床受け入れている。看護師も通常の3交代から2交代で対応している」と述べた。
 広川恵一協会理事は「一日も早く地域の開業医とも連携し通常診療に戻すことが重要。我々も被災を受けた開業医の支援は惜しまない」と述べた。


医療支援で現地入りしていた
上田耕蔵協会評議員(右)

  その後、避難所の多賀城市立天真小学校を訪問、20日から医療支援で現地入りしていた上田耕蔵協会評議員と意見交換した。「津波により被害は甚大、阪神大震災と比べて広範に及んでいる。物資の不足、特に石油不足は深刻だ。災害医療で低体温症はいままで経験したことがない。震災後低体温により10人近く亡くなっている。信じられない事態がおこっているが東北の皆さんはよく耐えている。この避難所には避難者が1000人いる。多くの方が津波で家を流された。生活再建が今後の課題」と述べた。


   その後、避難所の仙台市南部の亘理町立吉田小学校を訪問、亘理町保健師の星野素子さんから被災状況、避難所の状況など聞き取りを行った。 被災当初は、医師がいなかったため、頻繁に救急車を呼んでいた。現在は岐阜県の医療支援チームが常駐しており助かっている。電気はきているが水はまだきていない。トイレはプールの水を利用してる。他の避難所では衛生時状態の悪化によりノロウイルスが流行しているので心配。 被災当初は1700人の被災者がいたが、現在は550人。身寄りのある方は帰られたが、家が流された方、特に高齢者が残られている。避難者には高血圧・風邪・糖尿病の患者が多く、対応に苦慮している。物資も不足しており、特に歯ブラシ、紙コップが不足している。 
仙台市南部の亘理町立吉田小学校

  学校との関係は今のところ良好でだが、今後避難生活が長期化することでその関係も心配。震災時は自らも被災し、近所の高齢者を送迎中に津波が襲ってきてずぶ濡れになった。津波で多くの 方が被災した。 布団や靴も流され、ずぶ濡れのなかビニールを被り、裸足で歩いていた。宮城にこ んな津波がくるとは思っていなかった。亘理町はイチゴの産地だが、多くの畑は津波により潮をかぶり、再開まで2?3年はかかる。これからの生活をどうしていくかストレスを感じている住民が多い」と窮状を述べた。


2011.3.21
兵庫県保険医協会事務局 足立俊彦
 

2011年3月22日火曜日

明日から支援の第三陣が現地入り

住江保団連会長率いる先遣隊、広川兵庫協会理事、小野田和歌山協会理事率いる第二陣に続き、兵庫協会事務局、保団連事務局で構成する第三陣が明日から現地に向かい、宮城県を中心に支援の拠点づくりに取り組む。
激励と状況把握を中心とこれまでの支援から、今後の継続的な支援に向けた具体的な取り組みを開始する。

現地レポート⑪ 井村春樹先生から(3/18)

 尼崎医療生協病院の井村です。
 TFCのメーリングリストでご教授いただいたPFAや避難所での感染症診療に関してはまとめて現地に設置させていただきました。
 本日でいったん被災地任務を終了し、明日朝に帰路につく予定です。昨日と本日、避難所支援に行きました。
 避難所では様々な被災者の方がいらっしゃいました。抗がん剤治療を受けており、今週に次のクールの抗がん剤治療を受ける予定だったが被災してしまい、治療を受けるめどがまったく立たない状態だった方、足腰が悪くてトイレに行くのを我慢するために尿路感染症を発症してしまった方、目の前で2歳の子どもが津波で流されてしまい避難所各地を回っている方。保健師が常駐体制をとるようになったり、医師会の支援も入ったりと徐々に支援 の体制はとれつつありますが、まだ十分ではありません。
 また、阪神大震災当時に神戸に住んでいた元被災者としては今後の仮設住宅→復興住宅への年単位での復興支援が必要なことを考えると、まだまだ全国からの支援が 必要です。宮城から離れることは後ろ髪ひかれる思いですが、地元に戻っても自分にできる 支援を考えていきたいと思います。
 現地で引き続き支援にあたっておられる先生方にはぜひとも今後の現地での情報発信をお願いしたく存じます。
 最後に、これまで貴重な情報を提供いただいたTFCの皆様ありがとうございました。これからも東北地方の復興支援およびご指導のほどよろしくお願いいたします。

2011年3月21日月曜日

現地レポート⑩  宮城県災害医療コーディネーターからの聞き取り

 保団連医療支援チームは20日、宮城県庁を訪問、県の災害医療コーディネーターから医療支援の実状について、聞き取りを行った。
 県の災害医療コーディネーターを務める上原鳴夫東北大学大学院教授は、「仙台市を除く、宮城県全域の災害医療の調整を行っている。全国から多くの支援をいただき、感謝している。D-MAT、J-MATなど、ここ10年で整備して来た災害医療のシステムがそれなりに機能している。避難所のニーズにも迅速に対応しているが、ニーズが上がってこない場合がある。災害時には①災害そのものによる怪我・病気、②日常診療にアクセスできないことによる慢性疾患の悪化、③避難所などでの新たな疾患へのケアが課題となる。災害時医療から日常診療への切り替えも今後課題となる。コーディネーター役の医師も必要」と述べた。
 広川恵一兵庫協会理事は「阪神淡路大震災では、医師のボランティアとともに、看護ボランティアが重要な役割を果たした」など西宮での経験を伝えると、上原教授は「その経験にぜひ学びたい」と応じた。
2011.3.20
兵庫県保険医協会事務局 横山哲朗

2011年3月20日日曜日

現地レポート⑨ 仙台市内の避難所で医療支援

被災者への医療支援にあたる広川兵庫協会理事
 支援の第二陣は宮城協会を訪問後、仙台市内の鶴巻小学校、岡田小学校の避難所を医療支援のため訪問。被災者の医療相談にのり、治療にあたった。
 体育館や教室に避難しているのは、津波で家を失った方がほとんど。常用薬を持ち出せなかったり、飲み切ってしまった人もおり、高血圧や喘息など慢性疾患の悪化が懸念されている。広川兵庫協会理事らは、避難者の声に耳を傾けながら、臨時の投薬を行いつつ、かかりつけ医などへの受診をすすめた。
 広川理事は「阪神淡路大震災の時は家屋倒壊による怪我人も多かったが、津波被害では生きるか死ぬかで、怪我人はほとんどいない。今後は慢性疾患の悪化を防ぐため、避難所と開業医の連携が重要になる」と、阪神淡路大震災で自ら支援の先頭に立った経験を踏まえ、今後の課題を提起した。

2011.3.20
兵庫県保険医協会事務局 横山哲朗

現地レポート⑧ 支援の第二陣が現地到着 -宮城協会を訪問

宮城協会を激励訪問
住江保団連会長をはじめとした先遣隊に続き、広川恵一兵庫協会理事、小野田幸男和歌山協会理事が20日に現地に入り、宮城協会を激励訪問した。北村龍男宮城協会理事長と面談し、激励するとともに、支援の医薬品を手渡した。
 北村宮城協会会長は、「会員の安否確認を進めている。気仙沼で会員の先生がお二人亡くなられた。診療所の損壊・水没などの被害も出ている。保険証のない方の対応や3月分の診療報酬請求をどうするかも課題だ。兵庫協会の経験に学びたい」と述べた。 広川兵庫協会理事は、「異常な時には異常なことをするのが正常だ。安否確認では実際に訪問し、状況とニーズをつかむことが重要。16年前の阪神淡路大震災の際は、概算請求制度の運用を運動の力で改善させ、活用した。資料を提供したい」と述べ、協力を約束した。

2011.3.20
兵庫県保険医協会事務局 横山哲朗


2011年3月18日金曜日

現地レポート⑦ 保団連先遣隊が福島に到着、現地協会を激励


酒井福島協会理事長・菅原同事務局長を激励
支援物資や見舞金を手渡した
住江憲勇会長を先頭とする保団連災害先遣隊は18日、福島協会事務所を激励訪問し、福島協会会員と被災県民に深く哀悼とお見舞いを述べるとともに、食品、衛生材料、水などの物資を提供した。

菅原浩哉事務局長は、「安否確認をはじめたばかり。まだ何から始めていいかわからない。電話は不通状態が続いているので、ファックスで安否確認したが、1470人会員のうち、回答したのは18日現在386人。浜通り(沿岸部)は原発の状況悪化で全くつながらない。相馬市は市民がいっせい避難して、開業医はいない状態。警察医を担う会員だけが、遺体検視や救急対応のために泣きながら治療に当たっている。県外に避難している会員には連絡のつけようもない。ライフラインも寸断されたままで、協会事務所もまだ断水している。ガソリンもなく、移動手段すら奪われている」と窮状を訴えた。

酒井学協会理事長は、住江会長の激励訪問を受け急遽電話で対談、激励に感謝を表明するとともに、診療所のガス配管が壊れて使えないことなど現状を伝えた。住江会長は、「全国の協会と協力して全力で福島協会を支えること、必要な要望はなんでも聞いてほしいこと、会員医療機関の一日も早い復旧・診療再開が、地域の住民の健康を守ることに繋がることを知らせて欲しい。協力を惜しまない」と連帯の思いを伝えた。

兵庫県保険医協会 事務局 小川昭



17日の宮城県・松島海岸の様子
悲惨な状況だが、この地域の被害は比較的軽微だった

現地レポート⑥ 井村春樹先生から(3/15)

尼崎医療生協病院の井村春樹先生からいただいた3月15日時点の現地の状況です。


(3月15日 午後12時現在)

 現在の状況を発信いたします。
 ご心配をおかけしました透析患者さんについては仙台の北部などでも再開ができそうな状態になってきていること。また挫滅症候群のような緊急で透析が必要な患者 さんの数自体がそこまで多く出ていないことなどから宮城は県内のみで透析ができそうな状態となってきております。
 また、各地で続々と多数の遺体が確認されているという状態であるとの情報が確認されております。
 被災地の援助に緊急で入った方々がいったん帰宅するという段になってきており、福島の原発での出来事が心配されております。現地では雨も降ってきており、病院は現在、地下水をくみ上げて利用しているのですが、それらが汚染されないかという懸念もあります。
 引き続き、落ち着いた状況下では情報発信させていただきたいと存じます。原発関連の情報提供などがいただければ現地では非常にたすかります。
 よろしくお願いいたします。


(3月15日 午後3時現在)

 本日、死体検案のお手伝いに行ってまいりました。
 現場に入った瞬間、言葉を失いました。この感情は言葉では到底言い表すことができません。
 亡くなられた方には心よりお悔やみを申し上げます。
 印象としては特にADLの低下した高齢者の方が多く犠牲になられています。
 中には小児の姿もありました。しかし、40代~50代の方もいらっしゃいました。
 身元がわからない方も多く、ご遺体を引き取れないという悲しい状況が続いているそうです。
 また、身元がわかってもご遺族が避難している状態で引き取れないという自体も多くなってきております。
 ここ3日間ほど支援活動を行っていますが、移動手段がほとんどないということです。
 阪神大震災とは性質の異なった災害が今起きていると認識しています。
 これから先は長期的な現地への支援が必要な状態であることはもちろんですが、この状況下ではプライマリケア医の力が本当に必要な状態になってきています。
 守屋先生をはじめとしたプライマリケア医の動きが現場を勇気付けていただいております。
 今後ともご支援賜りますようよろしくお願いいたします。

現地レポート⑤ 井村春樹先生から(3/14)

診療支援のため宮城県・坂総合病院に入っている井村春樹先生(協会会員・尼崎医療生協病院後期研修医)から、現地の様子を伝えるレポートをいただきました。


(3月14日 午後9時現在)

 病院で現地に支援に行くという方針となり私が派遣されております。現在は坂総合病院という病院で診療支援を行っております。
 現在の被災地の状況としては、津波災害があったところとなかったところで大きな差があります。自宅が無くなった方々と被害が少ない方々の落差が激しくなってきております。
 医療現場の実感としては外傷などの超急性期は徐々におさまりつつあります。
 津波被害にあわれた患者様は薬やお薬手帳も流されており、自分で内服した薬がわからないなどの状況になっております。(インスリンやワーファリン・降圧薬などが足りなくなっております。)また、慢性疾患の急性増悪やDKA、インフルエンザ・感染性腸炎などの震災の二次災害ともいえるような疾患が増えてきている印象
があります。
 また、避難所などへの支援も徐々に行われていますが、ミルクやおむつなど小児に関する物品が不足しているような状態です。特に乳幼児を抱えた若い家族が強いストレスをかかえています。
 高齢者のせん妄のような状態で困っている家族や自傷行為による受診も見られはじめてきており、精神科の先生方の支援が必要な状態です。
 維持透析患者さんの行き先にも非常に難渋しております。
 被災地へは電話よりもメールの方が伝わりやすい状態です。被災地では、AUやwi-fi環境でのメール連絡がしやすいような印象があります。
 また、状況がわかりましたらご連絡させていただきます。

現地レポート④ 先遣隊が宮城協会理事会に参加、現地役員を激励

現地役員を激励する住江保団連会長
宮城協会理事会は先遣隊の経験を踏まえ対策を決定した
 保団連被災地対策先遣隊は17日午後、盛岡市内の岩手協会で保団連震災対策会議に電話参加した後、一気に仙台まで南下、宮城協会理事会に20時前から参加し、現地役員等を激励した。
 理事会では災害対策に速やかに対処するために、理事者で構成される災害対策委員会を立ち上げた。今後は震災に特化した案件で会員をバックアップする。
 住江保団連会長は、「まずは会員の安否確認を。会員が仲間に支えられていると実感することが当地の医療機関の立ち直りにつながり、ひいては地域の被災住民の健康を守ることにつながる。どうか、保団連に何でも相談して欲しい」と被災した宮城協会役員を励ました。
 理事会では、今後、安否確認のために会員訪問をすすめこと、まずは必要なガソリンを優先的に入手するためにも、協会として緊急車両登録して高速道路で給油するなどの方策を採ることが、先遣隊の経験を参考に決定された。

被災地での口腔ケアにかかわって 足立了平先生からの資料提供

神戸常盤大学短期大学部口腔保健学科教授で「保険でより良い歯科医療を」兵庫連絡会の世話人を務める足立了平先生から、被災地での口腔ケアにかかわる資料をいただきました。

足立先生は阪神・淡路大震災時に被災者支援にかかわった経験から、口腔ケアの重要性を発信しつづけています。

医療支援・歯科医療支援の参考にご活用ください。


意見書
「東北関東大震災(東日本大地震)-口腔保健の重要性について」(PDF)


[ご紹介] 足立先生インタビュー 「すべての国民に良質の歯科医療を」(2011.11.5 兵庫保険医新聞1638号掲載)

2011年3月17日木曜日

現地レポート③ 先遣隊が岩手協会を訪問


住江保団連会長(右)が箱石岩手協会会長(中央)に
支援の決意を伝えた
  住江憲勇会長を先頭に、東北関東大震災の罹災協会を激励訪問している保団連支援の先遣隊4人は17日早朝6時、宮城から陸路猛吹雪の中、岩手県にむけ東北道を200キロ北上。岩手協会に支援物資と見舞金を届けた。
 箱石勝見岩手県協会会長は、「被災後7日経ったが、いまだ会員の安否を確認できない。報道されているように大船渡、陸前高田の市街地は壊滅状態にある。沿岸部の会員医療機関や自宅はほぼ全滅ではないか。避難所などで生存が確認できた会員も一部いるが、依然安否の確認に全力を挙げている。医院や医療機器の損壊状況も集約中。電話などの通信手段も沿岸部では全く復旧していない。県内を移動したくてもガソリンも無いので行けない。約1000人の会員のうち約150人が沿岸部、情報集約に全力を挙げている。」と惨状を訴えた。
 「まずは会員安否確認に全力を。保団連は会員とともにある、寄り添うことを被災会員に一刻も早く伝えたい」と、住江会長は被災した東北各協会を全力で支援する決意を表明した。17日午前11時現在、沿岸部148医療機関(会員)のうち、生存の確認が取れているのは86人。また、14日時点で実施されたファックスによる安否確認には194医療機関(医科127、歯科67)から回答があり、医科3医療機関と歯科6医療機関が休診していることが17日現在判明している。
 内陸部、盛岡の市街地は地震による被害は、東北新幹線の高架橋脚にがひび割れするなどがあるものの、市街地の損傷は、沿岸部の津波被害を比べると比較的軽度。しかし、当地でも食料と燃料の不足は深刻で、一見市民生活も通常通りに見えるが、品切れで閉鎖中のガソリンスタンド前には入荷を待つ自動車が長蛇の列。コンビニエンスストアやパン屋の前には食料を求める住民が寒さと行列に耐えている。
 昨日訪問した宮城県はさらに深刻な様相。電気は徐々に復旧しつつあるが、ガス、水道が復旧しておらず、尽きかけた食料をわけあっている状況。都市ガスの復旧はめどが立たず、被災者が暖を取り、暖かい食品を採るためにも、カセットガスコンロ、ボンベが当面は大量に必要。
 先遣隊一行は宮城県民医連が確保している支援要員用に確保している施設に宿を得たが、そこ自体津波被災している。松島温泉旅館地域は電気は復旧したものの水、ガスは絶たれたままで、食料もない。館内も鏡、ガラス類などが割れたままになっている。周辺道路も津波被害の深刻な爪あとが色濃い。道路状況も幹線を中心に改善しつつあるが、破損した自動車や家屋、瓦礫の山を掻き分けながら進むことになる。

2011.3.17 兵庫協会 事務局 小川 昭

書籍のご案内

2011年2月発行
定価1500円+税
阪神・淡路大震災の経験と記憶を語り継ぐ

被災地での生活と医療と看護
 ─避けられる死をなくすために

兵庫県保険医協会/協会西宮・芦屋支部 編

阪神淡路大震災から16年、被災から復興へ-
その時、医療・看護は、どのような役割を果たしてきたのか。知られざる被災現場での格闘とドキュメント。そして、被災地での「避けられる死をなく すため」に必要なこととは。当時、被災地最前線にいた医療・看護ボランティア達の記憶とそれから。

2011年2月17日
発行:クリエイツかもがわ発行
発売:かもがわ出版
定価:1500+税

ご注文・お問い合わせはTEL078-393-1801 協会西宮・芦屋支部担当まで


 目次 
CHAPTER1 看護訪問ボランティアからの学び
 看護ボランティアについて ~どうして看護ボランティアははじまったのか
 災害時に大きく専門性を発揮する看護
 被災地での看護ボランティア体験看護の原点・ナイチンゲールの看護を学ぶ
 生命を守り、生活の回復と再建を支える看護
 「震災時看護ボランティアマニュアル」を考える
 看護ボランティア どうかかわり、何を学んだか

CHAPTER2 被災地での開業医の課題
 災害と第一線医療の課題 ~地域医療の課題の変化と対応

CHAPTER3 阪神・淡路大震災15年の集い -被災地の生活・暮らし、防災と減災の視点、災害時の医療と対策
 大震災被災者の生活と健康  西宮での継続調査の中から
 生活を基礎にした減災の考え方
 災害時の医療 避けられる死をなくすために
 東京都中野区医師会の「災害時医療対策マニュアル」

現地レポート② 宮城協会を激励訪問


 保団連は3月16日、住江憲勇会長を先頭に、大阪歯科協会事務局1人、兵庫協会2人で構成された、先遣隊を派遣。東日本大震災に罹災した宮城、岩手、福島の各協会を激励し、大阪保険医協同組合の協力で集められた医薬品200万円分と義援金の提供を開始した。
 初日は東京から東北自動車道を360キロを北上し、宮城協会に到着。住江会長は震災と津波被害に遭われた被災者と医療機関に心からのお見舞いを述べるとともに、北村龍男理事長に対し、保団連は全力で会員医療機関の支援に取り組むこと、必要な支援は遠慮なく要請して欲しいことを申し出た。
 北村理事長は、地震発生直後、津波被害に会った地域に訪問診療を予定していたが、偶然別の地域から往診の依頼を受けて出動し、九死に一生を得たエピソードを紹介。クリニックの目前、海岸線から6キロ地点まで民家が丸ごと流されて来ている恐怖の体験を語った。宮城協会会員では依然として気仙沼地域の役員1人と音信不通。安否確認と現状把握、医療支援の可能性を探っている。
 保団連からは3協会に500万円の見舞金を提供、兵庫協会は200万円の見舞金を予定している。

2011.03.16 兵庫協会 事務局 小川 昭

被災者の療費一部負担金免除についての要請書

兵庫協会は3月16日、被災者の医療費一部負担金の取り扱いについての厚労省通知に対し、政府・厚労省、兵庫選出国会議員に以下の要請書を送付。阪神大震災の教訓も踏まえ、すべての被災者が必要な医療を受けられるよう要望した。

→PDFはこちら


東日本大震災における被災者の医療費一部負担金免除についての要請書
-被災者をふるいわけせず、全被災者の命を救うこと-


兵庫県保険医協会理事長 池内 春樹

 厚生労働省保険局医療課は3月15日、「東北地方太平洋沖地震及び長野県北部の地震による被災者に係る一部負担金等の取扱いについて」とする都道府県等に対する事務連絡文書を通知しました。しかし、通知内容は巨大災害の実情にそぐわない不十分な内容です。
 「通知」の趣旨は、被災者の医療費一部負担金等について「猶予」するというものですが、その条件として①住家の全半壊、全焼又はこれに準ずる被災をした旨、②主たる生計維持者が死亡し又は重篤な傷病を負った旨、のいずれかの申し立てをした者であること、としています。
 しかし、巨大災害においては、そうした分類は意味がありません。津波に襲われた家がどうなっているか、一体誰が確認できるでしょうか。今も安否不明者が15000人を数え、家族が離れ離れになっているのに、「主たる生計維持者」がどうなっているのか、幼子に一体誰が教えてくれるというのでしょうか。
 あの1995年1月17日の阪神淡路大震災の折も、厚生省(当時)が最初に出した1月20日付け通知は、今回とまったく同じ内容でした。しかし、このようなふるいわけは現場ではまったく意味がなく、医療現場では一部負担金なしでの医療が行われました。そして、その一ヵ月半後の3月3日、同省は「免除対象者」の要件として、「社保」「国保」「老人」別に整理し、「社保」では「市町村民税が非課税である場合」を追加、「国保」の場合は、「世帯主又は組合員が業務を廃止又は休止した者」「失職し、現在収入が無い者」「その他上記の各号に準ずる者」とされ、「老人」ではさらに「一部負担金を支払うことが困難になるおそれがあると認められる特別な事情がある者」が追加されました。こうして一部負担金免除の範囲を追認する形で広げられ、多くの被災者が医療を受けられたのです。
 今回の厚労省通知は、阪神淡路大震災の教訓を生かすことなく、再び、被災者をふるいわけし、狭い範囲に限定しようとするものです。
 私たちは阪神淡路大震災を経験した開業医師・歯科医師の団体として、政府・厚労省が阪神淡路大震災の教訓を生かして、すべての被災者が必要な医療を受けられるよう、災害救助法を適用し、医療費の一部負担金免除を直ちに実施することを強く要請するものです。