2011年5月11日水曜日

現地レポート29 厚生労働省の場当たり的通知に募る不安

干されているカルテ
 前日に引き続き5月11日も、被害の甚大だった気仙沼市と塩釜市、多賀城市、七ヶ浜町、大和町、大衡村の会員医療機関を、保団連支援隊として愛知協会、富山協会、京都協会事務局員4人が訪問。合計17人の会員に直接会い、お見舞金を渡すとともに、政府への要望などの聞き取りを行った。
 兵庫協会の平田と愛知協会の澤田事務局次長とが訪れたある会員は、地震当時を振り返り、隣のセブンイレブンは跡形もなく流された。地震が起こったあと、すぐに停電し、防災無線も聞こえなかった。携帯電話でワンセグを見た患者さんの、『津波が来る』との声で、スタッフと患者さん全員で高台に逃げた。危機一髪だった」と述べた。海水の影響で、水につかった医療機器はすぐに錆びて使えなくなってしまったそう。多くの患者さんが亡くなったため、家族から歯型の提供を求められるが、PCが水没し、データの復旧を急ぎたいと述べた。また、「震災に関する厚生労働省の通知が、場当たり的でよくわからない。今後、当分診療できないので、その間の情報不足が不安だ」と語った。協会からは、これまでの厚生労働省の通知を解説した資料をお渡しするとともに、宮城協会に電話いただければ、いつでも疑問に答えると説明した。
 また、診療所が冠水したある会員は、5月23日には部分的にでも診療を再開したいと、本日もスタッフの方と、診療所の復旧活動を行っていた。完全な復旧は10月までかかるそう。「医療機器やPCも全て壊れて、患者さんのデータも全て復旧できなくなってしまった」とのべ、水につかったカルテを集めて、干しておられた。


2011.5.11
兵庫県保険医協会事務局 平田雄大

現地レポート28 民間医療機関の再建にも公的補助を

 5月10日、宮城協会の被災会員訪問活動支援として、これまでの訪問活動で確認された医療機関もしくは自宅が全半壊した会員にお見舞金を渡すため、愛知協会、富山協会、京都協会から参加した4人の事務局員が、宮城県石巻市、東松島市の合計21人の会員を訪問。19人の会員に直接会い、お見舞金を渡すとともに、政府への要望などの聞き取りを行った。
 兵庫協会の平田と愛知協会の澤田事務局次長とが訪れたある会員は、地震で診療所が全壊したものの、4月18日から、近くの小野市民センターの応接室で診療を再開していた。同センターは地域の避難所になっており、この日も多くの患者さんの治療を行っていた。この会員は、「阪神淡路大震災のときは民間医療機関の再建にも補助が出たと聞いた」とし、「今回も同様の措置が必要だ」と述べ、政府への働きかけを協会として強めるようにと訴えた。
 また、ある先生からは「多くの患者さんが現在も避難所生活を送っており、診療所を再建したとしても今後、地域に戻って来ないのではないか」と懸念が寄せられた。
 自宅マンションが全壊した石巻市の会員は、震災が起きた翌日から被害が軽微だった診療所に住み、日の光だけで診療を開始。翌々日も、当番医としても診療を行うなど、震災直後から地域医療に奔走された。診療所のある地域は、比較的被害が少ないので、現在も多くの地域住民が、沿岸部の被災地域の知人や親戚の生活支援を行っているが、支援による疲れも出てきており、支援する人の健康管理にも注意が必要だと述べた。また、地域医療について、近隣の石巻赤十字病院が、災害対応で手をとられ、従来果たしてきた地域の中核病院としての役割がなかなか果たせていないと、現場での困難を訴えた。

2011.5.10
 兵庫県保険医協会事務局 平田