2015年3月15日日曜日

東日本大震災から4年 まちなみと住民の生活再建を

東日本大震災から4年
まちなみと住民の生活再建を
兵庫県保険医協会理事長 池内 春樹

 今年は阪神・淡路大震災から20年、東日本大震災から4年の節目の年である。
 阪神・淡路大震災では、「借り上げ復興住宅から20年の契約期間が経ったから退去してほしい」と自治体から要求され、高齢になった被災者はせっかくできた地域の絆がなくなるので困っている。
 東日本大震災では8万3千棟もの仮設住宅がいまだに使われている。住宅地の少ない三陸地方の特殊性はあるにしても、政府が率先して自治体と協力し、復興住宅を速やかにつくるべきだ。阪神・淡路大震災でも経験したが、劣悪な住宅環境では高血圧、糖尿病、高脂血症など、ストレスによる病気の新たな発症や増悪が3人に1人に起こっている。
 兵庫協会では、東日本大震災発生直後から、今まで30回以上にわたって「被災者に元気を」との願いで、被災地訪問を続けている。
 東日本大震災のもう一つの問題が原発事故だ。被ばくを恐れて兵庫県に避難されている家族がおられる。避難者健診も、兵庫県民主医療機関連合会と協力して行っている。原発の速やかな廃炉と除染が求められる。
 震災関連死を増やさないためにも、まず生活の基盤である住宅の復興が必要だ。また、生活再建のためには仕事が必要だ。仕事や住宅がないため、被災県からの人口流出が続いている。
 復興予算で長大で巨大な防波堤を造るのでなく、子どもたちの未来のために、地域のまちなみと住民の生活を再建してほしい。これこそが、阪神・淡路大震災を経験した兵庫県民としての願いである。創造的復興ではない、「人間の復興」を求めて、連帯のメッセージとしたい。

2015年2月25日水曜日

原発事故・県内避難者に健康診断

健康不安・悩み受け止める

 福島第一原発事故による県内への避難者に寄り添い、その健康管理に寄与しようと、避難者を対象とした健康診断が、2月11日に姫路医療生協共立病院で開催され、福島県などから避難してきた15家族40人が受診した。協会の森岡芳雄理事、辻一城理事が小児科の診察を行い、山中忍理事がスタッフとともに、初の眼科検診を実施した。

 避難者健診は、兵庫県民主医療機関連合会(民医連)が半年に一度、実施しているもので、今回で4回目。民医連からの協力要請を受け、協会役員が毎回、診察に参加している。
 県西部での開催は初で、姫路市やたつの市に居住の家族が多数受診した。受診者の半数以上が小児のため、レクリエーションコーナーを設ける、健診をスタンプラリー形式にする、避難者の方同士が交流できるような場を設けるなどの工夫がされた。健診内容は、問診、身長体重計測、診察、血液検査、心電図、検尿、甲状腺エコー、眼科検診。
 健診終了後は、受診者に将来にわたって自分の健康管理に役立ててもらえるよう、「私の健康記録ファイル」を渡している。3月上旬頃に結果を送付し、4月上旬には結果相談会が予定されている。
 終了後のスタッフの感想交流では、「受診者に被曝による健康への不安が強いのを感じた」「健診は無事終わったが、これからの結果の判定と返しが大切」などの声が出された。

2015年1月25日日曜日

阪神・淡路大震災20年 神戸と西宮でメモリアル企画

阪神・淡路から東日本・原発事故へ――
語り合い経験つなげる

 協会は、震災20年となる1月17日、神戸でメモリアルシンポジウム「巨大災害と人権保障」、西宮で「20年の集い 阪神・淡路大震災―東日本大震災―原発事故」を開催。あわせて400人が参加し、企画を通じて震災からの20年を振り返った。
 神戸会場では、ライターの古川美穂氏、住江憲勇保団連会長、武村義人兵庫協会副理事長、ひょうご福祉ネットワークの正津房子氏の4氏が講演。「創造的復興」の名のもと震災に乗じて「大資本が食い物にする」被災地の実態、協会・保団連の粘り強い運動によって公的保障を勝ち取ってきたこと、高齢化が進む復興住宅入居者の窮状、被災者に寄り添った復興の大切さが語られた。
 西宮会場では、「震災経験を語り継ぐ・風化させない・新たなつながりを拡げる」ことを目的に、阪神・淡路および東日本大震災についての報告や、京都大学原子炉実験所助教の小出裕章先生と映画監督の鎌仲ひとみ氏の特別講演・対談、被災地の医療・社会保障を考えるパネルディスカッション、心肺蘇生実習コーナー、震災の記録展示、被災地の物産品展など、さまざまな企画が行われた。

西宮会場「20年の集い」
東日本・原発事故と結びつけ人権と社会保障を考える

 協会と協会西宮・芦屋支部が、西宮市役所東館で開催した「20年の集い 阪神・淡路大震災―東日本大震災―原発事故」には、医師・市民ら340人が参加した。
 京都大学原子炉実験所助教の小出裕章先生と映画監督の鎌仲ひとみ氏が、原発事故に対する電力会社・政府やマスメディアの責任問題、市民一人ひとりが原発をなくすために行動することの大切さなどついて対談した。
 西宮市・広川内科クリニック院長の広川恵一先生が、阪神・淡路大震災における開業医師と保険医協会の取り組み、ボランティア・看護師の役割などにつ
いて、福島県南相馬市・大町病院院長の猪又義光先生と看護部長の藤原珠世氏が、東日本大震災において医療拠点病院として果たした役割と、復興に向け多職種で協力した震災後の取り組みについて、それぞれ報告した。
「被災地の医療・社会保障を考えるパネルディスカッション」では、青森市・大竹整形外科院長の大竹進先生、元岩手県立高田病院院長の石木幹人先生、岩手県立高田病院臨床心理士の行本清香氏、元宮城県気仙沼市立本吉病院院長の川島実先生、松島医療生協松島海岸診療所歯科の井上博之先生、福島医療生協いいの診療所所長の松本純先生が、東日本大震災がもたらした被害・人格権侵害や被災者の健康状態、復興に向けた取り組みなどについてそれぞれの立場から発言。
 東京都中野区・中村診療所院長の中村洋一先生は、阪神・淡路大震災ボランティアの経験から作成した「災害時医療対策マニュアル」や「中野区医師会災害対策本部」の取り組みについて報告した。
 兵庫県災害医療センター顧問の鵜飼卓先生は、阪神・淡路大震災以後の災害医療体制の改善点と今後の課題について、日本福祉大学名誉教授の金持伸子先生は、公営住宅における高齢化問題などについて報告した。
 心肺蘇生実習コーナーでは、西宮市・ユニコの森・村上こどもクリニックの村上博先生、西宮市・あしだこども診療所の芦田乃介先生とスタッフが、市民に懇切丁寧な実習を行った。
 講演の合間には二胡奏者の劉揚氏が「南相馬市民の歌」などを演奏した。