2014年1月5日日曜日

現地レポート48 11/23~24被災地訪問参加記




協会は11月23,24日に東日本大震災被災地である、福島県南相馬市・いわき市、宮城県亘理町などを訪問した。広川恵一・白岩一心・中西透各理事が参加した。参加者のレポートを掲載する。


参加記(1)
被災者の将来見すえた しっかりしたサポートを
三田市・歯科  中西  透





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南相馬市の雲雀ケ丘病院で堀副院長(中央)と懇談
仙台空港近くの亘理町では、宅地復興の風景が見られるがまだまだ空き地が多く、当地区の住民に尋ねてみると、当地区での建築物の災害への対応は、今後自己責任であるということだった。
 その後、福島県南相馬市に向かう車窓から農地の除塩対策などの風景が見られたが、あまりにも広域で、復興には時間が必要であると実感した。
 南相馬市雲雀ヶ丘病院の堀有伸先生との懇談会の中で、震災後認知症が増加していて、その原因の一つは仮設狭小住宅ではないかとのことだった。
 また南相馬市の大町病院では、除染労働者の肝疾患の重症患者が多いこと、また復興の軌跡を藤原珠世看護部長にお話しいただき、ご苦労を痛感した。
 地元紙・福島民報では、30面中9面に震災・原発事故の関連記事が掲載されて、原発事故関連死も記載されていた。なおかつ、核廃棄物最終処分地を決定せず、福島第一原発周辺の土地を国有化して中間貯蔵施設を建設するのは疑問に思った。
 今なお避難生活を送っているのは、東京電力が充分な津波対策を講じてなかったことと危機管理のまずさのせいである。事故前と同じ水準の生活ができるように、被害者の気持ちを考えて対応してほしい。
 国の責任も少なくない。被災者向けの補助制度の充実と仮設住宅等で生活する人の新たな暮らしをサポートする必要がある。被災者の将来の見える、しっかりとした方針を示すことが重要だ。


参加記(2)
経験つなぎ 被災者によりそう

赤穂郡・歯科  白岩 一心



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いわき市湯本「新つた」旅館の女将と交流
私たち兵庫協会では、池内理事長の方針である、憲法13条「幸福追求権」、25条「生存権」に基づく医療運動の一環として、東日本大震災・被災地訪問を継続的に行うことによって、現地の問題点を洗い出し検証しつつ、被災者の方々や被災地から避難された方々との交流を続けている。
 協会は震災直後から今まで、医療支援や避難所各地で行ったコンサートなどの記録や課題などの発表も定期的に行っているが、いずれも継続性が求められ、継続的な被災地の人たちとの交流が大切である。
 11月23日・24日の訪問には、私も初めて参加した。
 最初の見学地である仙台市若林区荒浜周辺から仙台空港近辺の津波被害地は、いまだに傷跡が大きく、空港は再開しつつも空港ターミナル周辺の企業活動は全く再開されておらず、マスコミの報道も全くない。宮城県亘理町鳥の海、阿武隈川河口近辺の住宅街も町ごと消え去ったままである。消え去った町中に、多数の慰霊碑や新しい墓地だけが目立つ地域も多い。
 近隣の人たちの話では、震災直後に家屋を潰す期限を設けて助成金を出し、期限を過ぎれば出さないと発表して、被災者の気持ちはなおざりである。地域の医療再建も、住民の流動化により困難だと言える。
 福島県南相馬市では、人口7万人の都市が一時は1万人まで減少し、現在4万8千人まで戻っている。
 そのなかで、南相馬市では、介護認定や介護保険申請問題、急速な過疎化問題、少子高齢化問題など、原発事故が起こる以前からの潜在的問題が顕在化したことも明らかになった。
 避難することで食生活が変わり、高血圧症、糖尿病、アルコール依存症、パーキンソン病、胆道疾患が増加することも知ることができた。
 いわき市湯本の数少ない温泉地での観光客減少、川内村や飯舘村、いわき市から南相馬市には、原発事故の影響で、郡山市経由でないと行けないことも知り得た。
 今後の医療問題として、原発事故によるあらゆる国民への情報開示に加え、甲状腺だけでなく、放射線の感受性の高い生殖器への影響、生活改善のための栄養指導、運動指導、健康診断を訴えていく必要性が高い。仮設住宅では、コミュニケーションに乏しいことや老々介護問題も深刻と聞く。
 仮設住宅の方々の医療費減免継続は当然であり、介護保険の充実も訴えていく必要がある。
 私は歯科医師であるが、歯科医師が、震災関連性疾患の肺炎予防のため、口腔ケアを行うことが必要である。自分の口で味わう喜びを回復してもらうための咀嚼機能を維持することも大切である。
 協会は、阪神・淡路大震災の経験を生かして、被災者の方々によりそうことができる。他人ごとではなく、わが身のこととして受け入れることが、阪神・淡路で全国から励ましていただいた、兵庫協会の責務である。
 幸福を追求しながら、自助や共助の強要でなく、公助の充実を推進する呼びかけや運動推進が急務である。
 協会の継続訪問は、今後も東北の方々に寄り添うため、そしてたくさんの個々の尊い命を学ばさせていただくためにも、必要不可欠である。
 同行していただいた、広川先生、中西先生、事務局をはじめとする兵庫協会に感謝を申し上げて報告としたい。

2013年11月15日金曜日

全国災対連 全国交流集会 参加記

保団連も参加する全国災対連(災害被災者支援と災害対策改善を求める全国連絡会)は1013日~14日、全国交流集会を岩手県花巻市内で開催し、280人が参加した。兵庫協会からは、池内春樹理事長、武村義人副理事長、辻一城理事が参加し、医師として積極的な提言を行った。辻理事の参加記を紹介する。

阪神・淡路の経験 被災地で発信・交流を

明石市  辻 一城

 
被災地の課題を共有し、意見を交換しあった
 災対連全国交流集会では、開会あいさつの後、東日本大震災で市街地が壊滅した岩手県陸前高田市の戸羽太市長の記念講演を拝聴しました。

 新聞やテレビで、被災後の復興についてたびたび発信しておられる市長ですが、生の声をお聞きして、復興が進んでいない現状、その困難さを改めて知りました。そんな中でも、「子どもが安心して住める街に必ず復興させる」と熱く語られました。

 それに引き続き、先の震災以降に発生した熊本の豪雨災害、和歌山の豪雨災害の報告もあり、各被災地の窮状も知りました。

その後、九つの分科会が行われましたが小児科医の私は、「子ども、地域に寄り添った教育の復興を」というテーマの会に参加しました。震災で被災した宮城県の小学校教諭の現場報告の後、参加者全員で、活発に討議されました。

 そのなかで、「阪神・淡路大震災で被災した西宮市の先生からアドバイスを受け、被災した児童を受け持つ教師として大変有益だった」と聞き、情報交換の大切さを感じました。

 花巻から神戸に帰ってきた直後、関東南の太平洋沖を台風26号が通過し、首都圏の交通は麻痺し、伊豆大島では、豪雨による土石流で多くの人命が失われています。

 「被災」は「明日はわが身」です。阪神・淡路大震災を経験した兵庫協会として、このような集会に積極的に関わり、防災、減災、そして被災後の復旧、復興についての有益な情報を発信できるよう、今後も災害対策活動に取り組む必要があると再認識しました。

2013年8月25日日曜日

被災者の生活再建すすまず 被災地の看護師・民生委員に現状をきく

 

仮設住宅暮らしのつづく住民の苦しみが切々と語られた
 
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 東日本大震災から2年半。協会は8月3日に、被災地の現状を考える企画を県農業会館で実施。訪問看護師らが仮設住宅での暮らしが続き今後の展望が開けずに苦しむ被災者の姿を語り、生活再建が全く進んでいない被災地の現状が浮き彫りとなった。
 
 
 

 本企画は、日常診療経験交流会プレ企画「東日本大震災--いま、被災地の課題」で、岩手県一関市の菊地優子看護師と宮城県気仙沼市の民生・児童委員である小野道子氏を招いて開かれ、32人が参加した。
 菊地氏は、被災地特例措置として認められた「一人訪問看護ステーション」を震災直後に立ち上げ、仮設住宅居住者などの医療・看護支援を続けてきた経験を語り、小野氏は、自身も被災し仮設住宅に居住しながら、民生委員として毎日、仮設住宅を訪問し行っている相談活動を紹介した。
 両氏は、報道などでは復興が強調されているものの、津波で住居を奪われた被災者は、高台の土地が高騰し仮設住宅から出て行けず追い詰められ、精神疾患や自殺が増えており、復興からほど遠いと語った。
 医療体制では、医師不足が深刻であること、宮城県では被災者の医療費窓口負担免除措置が3月末で打ち切られたことで、入院費が払えず仮設に戻ってくるなど、被災者に負担がのしかかっていることなどが紹介された。
 
被災地コンサート音楽でやすらぎを

 協会は7月13〜15日に被災地コンサートと生活と健康を語る会を、福島県南相馬市、岩手県一関市、陸前高田市、宮城県気仙沼市の仮設住宅など6カ所で開催した。民族音楽家のロビン・ロイド氏による演奏が行われ、仮設住宅居住者らが参加した。
 協会からは川西敏雄副理事長、広川恵一理事、滝本桂子・長光由紀薬科部世話人が参加した。南相馬市・大町病院では猪又義光院長らとの懇談も行った。
 
首相に抗議声明 〝復興予算流用やめ医療費免除復活を〟

 協会理事会は7月27日、「東日本大震災被災者の医療費免除復活を求める声明」を採択し、安倍首相に送付した。復興予算が、自衛隊輸送機購入費、ベトナムへの原発輸出の調査委託費など、被災者支援とは関係のない事業に使われていることが次々と明らかになるなかで、あらためて被災者のための復興予算の実行を求めたもの。
 「流用」された総額は2兆円に達するとの報道を紹介し、被災地の医療費負担免除措置に要する予算は350億円、保険料減免とあわせれば1142億円であるとして、被災者の医療費負担免除措置の復活を強く求めている。
〈菊地看護師からのメール〉でっかい防波堤よりちっちゃくても自分の家を
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被災者の実態を語る
菊地看護師(左)と小野氏
 今般は、本当にありがとうございました。言い残した一部を列記させていただきます。
 震災当初から、国や周囲の皆様の恩恵をたくさんいただいてきた負い目。同じ被災者や周囲から、天災じゃないかと言われればそれまで。「2・5年間も助けられてきたじゃないか、これからは自立を考え
よ」。確かにそう...もう何も言えません。
 しかし現実は復興どころか復旧すら全く進んでいません。当初は周囲がマスコミが騒ぎました。今はそれも激減し、まさに見捨てられたゴーストタウンです。
 外出も減り、3畳と4畳半の部屋に閉じこもる生活が増え、孤独死が目立ちます。市では内密に処理し突然死と報告され、本当の病名は分かりません。確かに食生活の乱れによる脳梗塞・心筋梗塞もあるかもしれませんが、それはほんの一部で、8割以上が絶望による自殺と震災関連死だと聞いています。
 精神科に通院している患者さんも自己負担(3割)が大きく、通院を止め薬も止めてしまっている状況です。今後、ますます精神状態が不安定になることを予測し、民生委員の小野道子さんは、腰痛を我慢しながら、心配な人の部屋を回って歩いています。せめて自分の担当仮設から自殺者を出したくない一心で、見守りをしています。
 復興税が成立しましたが、どこに何に使われるのか? 優先順位は? 皆目検討が付きません。
 宮城県は、被災3県で1県だけ、医療費の自己負担免除措置を3月で打ち切りました。村井知事には、たかが1割かも知れません。
 しかし、「一人暮らしの要介護3(歩行障害)の被災者は、ヘルパー訪問の回数を減らし、高価なデイサービスはもちろん使えず、自力でお風呂に入ろうと転倒(仮設の風呂場には15㎝以上の段差)。頭部外傷を負い縫合処置を施行。入院を勧められたが入院費が払えず、仕方なく仮設に戻り、民生委員のお世話をいただきながら生活している。微々たる年金のために生活保護にもなれない」...これは、ほんの一例です。
 どんなサービスにも自己負担がつきまとい、国が掲げる衣食住という最低生活の社会保障は表向きだけ。やむなく住所を岩手に移す住民もいます。
 現状を知事は知っているのでしょうか? 震災から立ち直ったかのような力強い報道を流しテレビでかっこいいことばかり取り上げ、まるで北朝鮮のよう...。そのギャップが被災者・弱者をますます萎縮させ、本音を言えない環境にしてしまっています。
 でっかい防波堤より、ちっちゃくてもいいから、でっかい屁もたれる自分の安住の家が欲しい。それが被災者の本音なんです。
 今、被災者を支えているのは、国や政治家より、隣人とボランティアの支えです。漁業・観光で生活してきた人たちの自然を破壊し、コンクリートで埋め尽くそうとしている国の方針に、弱者は「未来も夢もなくなった。生きてても周りに迷惑かけるだけ」と悲壮な考えになってきています。
 それを捨て身で食い止めようとがんばり続けているキーパーソンが、高齢の小野さんであることは地域住民が周知しています。だからわれわれ医療支援団は彼女らに引きつけられ気仙沼に行くんです。決して中断できない。
 これからまた、長い長い寒い冬が到来します。仮設の冬は地獄です。
 今回の旅は、頑張り屋の小野さんへの大きなプレゼントでした。彼女の張りつめていた全身の糸が切れました。今まで涙ひとつ見せたことがない彼女の大粒の涙が全てを物語っていました。
 今回の全てが満足です。本当にありがとうございました。
菊地 優子