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東日本大震災における診療報酬等の
概算請求の取扱いについての要請書
兵庫県保険医協会理事長 池内 春樹
大震災への貴職の救援活動へのご尽力に感謝申し上げます。
さて、厚生労働省保険局医療課が3月15日に発出した事務連絡「東北地方太平洋沖地震及び長野県北部の地震による被災者に係る一部負担金等の取扱いについて」の中で、「診療報酬の請求等の取扱いについて」は、追って連絡する予定であると通知しています。
阪神・淡路大震災の際にも同様の事務連絡が1995年2月7日付で発出されていますが、その内容は、「平成7年1月診療分に係る診療報酬等の請求等については、…被災により診療録を焼失又は棄損した場合、あるいは地震発生直後における診療行為については十分に把握が困難である場合」として、「1月16日以前の診療等分については概算による請求を行うこと」、「1月17日以降に診療等を行ったときは…原則として通常の手続による請求を行うこと。ただし、患者数等から診療実態が平成17年1月16日までと大きく変動していない旨を届け出たものにあっては、1ヶ月分を通じて概算による請求を行うことができるものである」としています。
しかし、今回の東日本大震災においては、阪神・淡路大震災の際と同様の内容であればきわめて不十分です。津波等によって診療録等の流失・棄損などの被害を被った医療機関だけではなく、診療録等の棄損等の直接的な被害はないにも関わらず、福島第一原子力発電所の未曾有の大事故による規制等で診療が出来なくなった医療機関、周辺住民が避難したため3月以降も通常の診療を続けることが出来なくなった医療機関も多数存在します。
これらを鑑み、3月分以降の診療報酬の概算請求の取扱いを通知する場合は、診療録等を流失や棄損したか否かに関わらず、通常診療が不能に陥った被災地域のすべての医療機関を対象とすることを強く要請するものです。