2012年10月12日金曜日

国による被災者の生活再建を求める運動に全力で取り組もう

全国災対連が全国交流集会・プレ企画を開催

 保団連も参加する全国災対連(災害被災者救援と災害対策改善を求める全国連絡会)主催の全国交流集会とプレ企画が、10月6日から3日間、宮城県と福島県内で行われ、池内春樹理事長、武村義人副理事長らが参加。名取市や岩沼市、南相馬市の被災地の現状を視察するとともに、講演と討論を通じて、住民生活と暮らしの再建を最優先する復興施策に必要な課題を整理し、運動の方向性を模索した。

宮城県内では復興が遅れ広大な更地が広がっているものの、震災・津波瓦礫は集積・分別処理され、塩害処理をかさねつつ農業が再開されるなど、現地視察では、少しずつでも前進が伺える。名取市ではボランティア等の協力を得ながら再開したカーネーション栽培農家から支援への感謝が述べられた。しかし、悲惨さを極めていたのは南相馬市小高地区。福島第一原発から10~20㎞圏内で今年4月まで立ち入り制限されていた「警戒区域」にあたり、現在も1/3が帰宅困難地域や居住制限区域に指定されている。南相馬市小高地区では、被災直後から放射線被害により人の立ち入りが不可能になったため、1年7カ月を経過した今日も、瓦礫は遺体捜索目的で仮に路肩に寄せたれたまま。地震・津波で破壊された家屋は放置されたままであり、被災直後から放置・遺棄されている状況にある。


 
 20㎞県内では今も夜間の立ち入りが禁止され、水道も復旧していないため、居住できない。小高市中心街で計測した放射線量は0.42~0.45マイクロシーベルト毎時と高く、歯科医院、小児科医院、病院など、患者も医療者もいない医療機関が、人影のないゴーストタウンに放棄されていた。線量計で計測しながら現状を確認した池内春樹理事長は「関係者の無念いかばかりか。復興はおろか自宅への帰還もかなわない住民の気持ちを考えると、あらためて原発ゼロでなければ」と、核と人類は共存できないとの思いを分科会で表明し、一人ひとりが線量計を持て汚染マップを作り、「子どもを放射線から守ろう」と訴えた。

 蔵王町内で行われた全国交流会には260人が参加、被災3県の代表や各自治体の職員、県・市会議員らが、核汚染、医療、職業、住居、教育の課題と取り組みについて討論・交流した。また、記念講演では岡田知弘京大教授が「『惨事便乗型』復興から『人間の復興へ』」と題し、復興庁のすすめる多国籍企業奉仕の「復旧でない創造的復興」論について、「病人にオリンピックを目指せ言うもの」と批判するとともに、「地域循環型」「地域内再投資力」重視の経済政策で、住民の暮らしと生業を支援することが、いち早い地域社会の復活につながると解説した。
住江憲勇保団連会長は、まとめの挨拶で大企業の利益を最優先し、復興予算を食い物にする政治姿勢を改めさせ、今後起こりうる災害に備えるためにも、国による被災地・被災者の生活再建を求める運動に全力で取り組もうと訴えた。また、小山栄三大阪歯科保険医協会理事は脱原発や生活再建の運動を進めるためにも、橋下維新の会など「第3の勢力」の欺瞞性を批判しようと呼びかけた。