復興と原発ゼロ願う
兵庫県保険医協会
理事長 池内 春樹
兵庫県保険医協会
理事長 池内 春樹
伊丹から仙台までは近くだ。昔、保団連の「味わいと文化の旅」で四万十川を見学した時乗った飛行機は、上がったと思うともう下降に入ったが、富士山や日本アルプスを見ながらお茶を飲んでいると、もう仙台空港だ。
仙台空港は、津波で甚大な被害を受けた仙台南部の名取市にある。ここから空港ライナーで仙台市へ。仙台駅の玄関口の空中回廊は健在だ。
地下のレストラン街で、カキフライ定食を食べる。仙台駅地下にはカキの燻製やおいしい笹かまぼこやずんだ餅のお店があり、おみやげにお勧めだ。仙台というと牛タンだが、厚切りのため前回食べた時は少し固く、今回はカキにした。身が大きくてやわらかくおいしい。松島湾のカキが不漁とのこと、地震の影響か心配だ。
仙台駅前から、北は北海道、南は九州から集まった災対連のみなさんと大型バスに乗り込む。地元の実行委員会の遠藤さんがツアーガイドをして下さる。
名取市・岩沼市
全国の支援で復興へ
全国の支援で復興へ
生産組合の組合長からお話を聞いた |
ハウスそのものはかろうじて持ちこたえたものの塩害がひどく、井戸水で海水を洗い流し土を入れ替えるのに、全国のボランティアに助けてもらったとのこと。組合長はわれわれもボランティアと思われたようだ。1年半が経過して、きれいにカーネーションが咲いたハウスの中で、さわやかに笑う息子さんに明日の希望を見た。
赤嶺衆院議院も一緒に 現地の状況を視察 |
津波の跡がまだ残っている仙台空港付近を経由して、岩沼市の千年希望の丘へ。ここは長い堤防を作るのでなく、ガレキを集めた小高い盛り土に植樹して津波を分散しようという実験場だ。
南相馬市
被災時のままの原発10キロ地点
被災時のままの原発10キロ地点
渡辺南相馬市議で南相馬市へ |
渡辺寛一南相馬市議の案内で、やっと日中の立ち入りが許された小高区へ。
中心の商店街には建てたばかりのような瀟洒なレンガ造の診療所、道路をはさんだ反対側には歯科診療所。年商2億円を稼いでいた洋菓子屋さんもある。蔵造りの旧家や馬繋ぎ場もある。線量計は0・4マイクロシーベルト毎時と、今回のツアーで一番高い値を示している。
「南相馬の田んぼは埋め立て地で、強力なポンプで排水していたが、地震で壊れ排水できない。大型コンバインを700万円で購入したが、シートを被っている。あの高台に貝塚の遺跡がある。ここまで海だった」農道を通りながら、渡辺市議が説明される。
道路も冠水しているが、大型免許を持っていると巧みにバスを誘導してくださる。福島原発から10キロメートルの地点だが、線量計の表示は0・3マイクロシーベルト毎時だ。
雨が降り出した。明日は今夜の宿、遠刈田温泉さんさ亭のご主人のご厚意で、蔵王のお釜だ。
東日本大震災からの人間の復興を祈ろう。