2011年4月20日水曜日

現地レポート24 仙台市泉区の被災医療機関を訪問

 兵庫、愛知、神奈川各協会の事務局員で、仙台市泉区の医療機関19件を訪問。各医療関に見舞金を届け、被災の状況や要望などを聞いた。
 仙台市泉区は仙台市街から比較的近い内陸部で、被害は地震の揺れによるもののみ。大体の医療機関はすでに通常の診療を行なっており、壊滅的な被害は少ない。しかし、中には全壊で診療再開の目処が立たない医院もあった。
 ある整形外科医院は建物を立て替えなければ診療できない状態。再建にせよ移転にせよ、年内は診療を再開できないだろうと先生は話していた。院内はまだ未整理で、無事だった医療機器やリハビリ器具の置き場に困っているとのこと。貸し倉庫を探しても見つからず、また長期になれば費用も大きくなると当面の問題を聞くことができた。また、全壊した透析を行なっている医院では、建物は完全にシートで覆われ、破損したガラスや院内の物品が大量に駐車場に積まれている状態だった。院内は天井がはがれた悲惨な状態だが、そんな中でも最低限必要な薬だけは処方するため、先生は午前中壊れた医院で限定的な診療を行い、午後には他院に預けた透析患者の所に行っているとのことだった。テナント開業の歯科医院でも、未だフロア全体が閉鎖されていて休診している所があった。
 すでに通常診療を再開している医療機関でも、建物のいたるところに壁のひび割れが見られたり、地盤が沈下し明らかに傾いているなどの被害を受けている所も多い。特徴的なのは、3月11日の地震で受けた被害が、4月7日の余震で拡大されているということ。地震の後に必要な部分を応急的に直して診療を再開したが、その後の余震でまた壊れてしまい、今後の不安と費用のことを考えると再度修理しようとも思えないと、ある歯科医院の先生は話していた。また、地震で倒れたカルテの棚が余震で再度倒れ、新しいものを購入したが、そのままで置いてある医院もあった。まだ余震があるかもしれないという不安が、再建の足かせとなっている状況が伺えた。
 健診専門のクリニックも訪問した。ここは、直接的な被害は高額な医療機器がひとつ破損しただけとのことだが、一般的な外来診療ではないため、震災以前のような状況には中々戻らないだろうとのことだった。震災当日も、津波被害を受けた石巻市の漁協の団体健診を行なっていたというが、その後団体の予約はすべてキャンセル、今後も住民に健診を受けようという心の余裕が生まれるまではどうにもならないと話していた。また、先生は避難所生活の中でエコノミー症候群が実際に見られることなどにも触れ、「復興を進めるためにも、被災者の健康確保が第一。こういう時だからこそ、健診と予防を徹底しなければならない」と対策の必要性を訴えていた。
 その他のことでは、地震保険がまともに支払われないことについての怒りもあった。地盤沈下などは評価の対象にされず、「お見舞金程度」といわれ一部損壊の小額の保障しか受け取ることができなかったという歯科医院があり、リスク回避のためにかけていた保険がいざという時に役立たないと、強い不信感をもっていた。
 全体として、医院の改修や備品、設備の購入が必要であり、そのための資金として見舞金の提供は非常に喜ばれた。
 明日以降の行動は、状況の把握が出来ていない会員医療機関の現状確認と、全半壊の医療機関に見舞金を届けるための訪問となる。今日と同じ地域で、20件程度の訪問を予定している。

2011.4.18
 兵庫県保険医協会事務局 納富章宏

現地レポート23 保団連支援隊8人が宮城で支援活動

 保団連支援隊に合流するため、4月18日(月)、東京駅発の高速バスに乗り、約5時間で仙台に到着。15時に宮城協会に集合後、保団連支援隊の顔合わせと意思統一、翌日からの行動の計画を決めた。支援隊には保団連1人、神奈川協会1人、東京協会1人、栃木協会1人、愛知協会2人、兵庫協会1人、鹿児島協会1人の計8人が参加。19日(火)から三班に分かれて市内の医療機関を訪問する。19日(火)は青葉区、太白区、泉区の医療機関を訪問する予定。

 会員医療機関の被災状況については、約1,630人の会員のうち960人ほどが確認できており、全半壊が100件ほど、一部損壊が350件ほどとなっているとのこと。被害報告に基づき見舞金を届けることと、情報を提供し要望をくみ上げることが支援隊の任務。宮城協会では、当面の対応として①会費の免除(4月会費は全会員を免除、全半壊医療機関については1年間を目処に診療再開まで免除)、②災害特別融資制度の準備(1,000万まで、原則無担保、協会手数料無料で医院の再建など以外にも運転資金としても利用可能)などを行なっており、保険請求にかかわる情報提供や大保協共同購入の案内などとともにそうした案内を行なっていく。

 津波の被害もあった沿岸部の訪問はこれまでの行動でほぼ完了しており、これから訪問するのは地震の影響のみを受けた内陸部になる。中には全半壊の医療機関もあるが、被害状況としては比較的軽微な地域であるとのこと。また、市街地を含む地域であり、医療機関が比較的密集しているので訪問しやすい地域でもある。19日には一班約20件、全体で60件ほどの訪問を予定している。 

2011.4.18
兵庫県保険医協会事務局 納富章宏

2011年4月19日火曜日

現地レポート22 加藤 擁一先生から

 歯科の役割は大きい    加藤歯科クリニック 加藤 擁一

 4月9()10()と、宮城県の被災地に行ってきた。8日()夜、診察を終って最終の新幹線で東京に前泊、翌朝5時から車で6時間かけて仙台へという強行軍だったが、一同、元気に頑張ってきた。
 出発直前の7日深夜、東北地方を震度6の大規模な余震が襲った。復旧しかけたライフラインがまた被害を受けたと報道されており心配だったが、何とか無事到着できた。
 まず、宮城協会の事務所に行き、被災状況の説明を受けた。事務所の壁一面に被災医療機関の写真などが貼ってあり、すさまじい状況の一端がうかがえる。未だに連絡の取れない会員も多いとの話である。
 午後からタクシーで石巻市に入る。死者・行方不明者5,000人以上を出した、最大の被災地である。沿岸部はほぼ壊滅状態で、一カ月たった今も見渡す限り瓦礫とヘドロに被いつくされている。
 高台にある石巻中学と高校が避難所になっている。係の人に許可を得て、避難している人に「歯のことで困っていることはありませんか」と声をかけて回る。津波で義歯を紛失した人、義歯の調子が悪い人、歯茎を腫らして抜歯の必要な人などが少なからずおられた。歯ブラシなども十分には行き渡っていない様子で、歯磨剤、義歯洗浄剤の要望も多かった。血圧の高い人も多数おられる。現地の医科・歯科医療機関もひどく被災しており、かなり大変な状況である。
 翌日は、仙台の南東にある名取市を訪れた。ここも津波の被害が大きかったところで、今も1,000人以上の方が行方不明である。市の中心部にある文化会館が避難所になっていて、200人ほどが生活しておられる。
 避難所周辺はライフラインがほぼ復旧しており、近隣の歯科医院も診療を再開していた。歯肉炎のひどい人、一治療が中断したままの人もおられて、受診を勧めた。現地の歯科医師会の方や、保険センターの歯科衛生士さんとも懇談をする機会を持てた。阪神・淡路大震災の経験も話し、激励した。「保険でより良い歯科医療を」兵庫連絡会から預かってきた歯ブラシをお渡しし、活用をお願いした。
 2日間の限られた日程で、十分なことができた訳ではないが、被災者のみなさんにあたたかく迎えていただいたことが何よりであった。当初「歯科医療は充足している」との行政サイドの話もあり、歯科ニーズが十分把握されていないことを心配していた。やはり、現地で被災者一人ひとりに声かけをすると、歯科医として、できること、しなければならないことが数多くあると、改めて実感した。震災関連死につながる誤嚥性肺炎の防止に口腔ケアが重要なことは言うまでもない。
 今後とも現地支援を続けていきたいと、参加者一同が感想を持った。ぜひ、多くの先生にも参加を呼びかけたい。