2011年4月11日月曜日

「被災者に歯ブラシを届けよう!」募金の呼びかけ

「被災者に歯ブラシを届けよう!」募金にご協力ください


兵庫県保険医協会
歯科部会長 田村忠之


 兵庫県保険医協会も参加する「保険でより良い歯科医療を」兵庫連絡会世話人の足立了平先生(神戸常盤大学短期大学部口腔保健学科教授)は、16年前の阪神・淡路大震災以来、口腔ケアと全身疾患の関係を訴え続けています。
 今回の東日本大震災の被災地に医療支援に入ったある医師によりますと、歯ブラシを欲しがっている被災者が多数いらっしゃるということです。歯ブラシがないと、インフルエンザや肺炎のまん延が心配されます。
 兵庫県保険医協会でもすでに義援金の募金をお願いしていますが、今後被災者の避難所や仮設住宅での生活は長期にわたることも予想されますので、ご賛同いただける方は歯ブラシ募金としてさらなるご協力の程をよろしくお願いいたします。スタッフの方や患者さんにもご協力いただけましたら幸いです。



「被災者に歯ブラシを届けよう!」募金のお願い


「保険でより良い歯科医療を」兵庫連絡会世話人
神戸常盤大学短期大学部口腔保健学科教授

足立 了平


 今回の東日本大震災で、避難所にて過ごされている被災者の方々に、歯ブラシを届ける募金にご協力をお願いいたします。
 阪神・淡路大震災後に健康悪化で亡くなられた震災関連疾患死の被災者は約1000人おられましたが、最も大きかった死因は肺炎で、関連死の約24%を占めました。その内、半分以上が誤嚥性肺炎だと私は思っています。高齢の方は人前で義歯を外したがらないので、洗浄せずに義歯をはめたままの状態で寝食を過ごし、口腔ケア不足で口の中の細菌が増加します。さらに避難所生活による体力低下も加わって、誤嚥により細菌が肺の中に入りやすくなるのです。震災直後から口腔ケアがしっかりできていれば、肺炎死をもっと減らすことができたのではないかと思うのです。
 避難所では歯ブラシを使っての口腔ケアがとても大事です。保険でより良い歯科医療を目指す当会ならではの支援活動として、ぜひご協力の程よろしくお願いいたします。
 歯ブラシは確実に被災者に届けられるように配慮してまいります。また、現地の要望がありましたら、洗口剤や保湿剤などの調達もいたします。

■募金お振り込み先
・ゆうちょ銀行  店番(支店名)「四三八(よんさんはち)」 預金種目「普通口座」 口座番号「4329044」
口座名 足立了平
・三井住友銀行 「長田支店」 普通口座 口座番号「7630490」 
  口座名 「保険でよりよい歯科医療を」兵庫連絡会 代表 足立 了平

現地レポート⑱ 協会第四次支援チームが宮城県で救援活動


兵庫県保険医協会・第四次被災地支援チームが4月9日()10()に宮城県内で救援活動を行った。近畿と福岡歯科の保険医協会有志とともに行った活動は、歯科支援第一弾としても取り組まれ、兵庫協会から加藤擁一副理事長、中津正二先生(三田市・中津クリニック院長)、藤田典子歯科衛生士(加古川市・うちだ歯科)、楠・山田事務局員が参加。大阪歯科協会から山上紘志副理事長と後藤剛事務局次長、京都歯科協会から平田高士理事、福岡歯科協会から杉山正隆副会長と大水継圭理事、和歌山協会から小谷隆久先生と上野佳男事務局長で総勢12人。

4月9日(土)

避難者の口腔内をチェックする加藤副理事長

5時に東京を出発し、11時頃に仙台市入り。宮城協会事務所を訪問し、野地事務局長から被災地の状況などについて説明を受けた。北村龍男理事長や井上博之歯科代表らと電話で表敬、激励しあった。
14時に石巻中学校へ。約600人が避難している。3班に分かれ、2時間ほどかけて各教室や体育館にいる避難者に声をかけて回った。
加藤擁一先生が一人ひとりに「歯はちゃんとみがけていますか」「入れ歯をなくしていませんか」「痛いところはありませんか」と声をかけて口腔内を見て回ると、「入れ歯用の歯ブラシと洗浄液、ケースがほしい」「柔らかい歯ブラシはないか」など声があがった。
阪神・淡路大震災のときに多くの避難者が誤嚥性肺炎で亡くなられた経験から口腔ケアの大切さを説明すると、避難者らは熱心に聞き、自分の歯の状態なども訴えた。
加藤先生は、「避難所での歯科ニーズは非常に高い。当面大切なのは、避難所で困っていることを手助けすること。フロスがほしい、歯磨き粉がほしいという人も多かった。入れ歯があたって痛いという人がいたが、少し削ってあげるとQOLがずいぶん向上する」との感想を話した。
 16時からは石巻高校へ。約300人が避難している。ここでも3班に別れ、1時間半ほどかけて巡回した。
被災者一人ひとりの相談に乗る中津正二先生
中津正二先生は血圧を測定して回ったが、多くの避難者が高い数値を示した。中津先生は一人ひとりに「野菜を食べろ、塩分をとるなと言ってもこのような状況だから難しいでしょうが、できるだけこまめに血圧を測定してもらう機会をもってくださいね」と声をかけて体調の相談に乗り、持参した痛み止めや降圧剤などを必要に応じて提供した。
中津先生は、「一週間前に測ったときは正常だったという人が多かったが、今日は多くの人が高い数値だった。この一週間ほどで事情が変わってきている。炭水化物を塩分を加えて食べており、また『残さず食べる』ことが言われている。野菜もなかなか口にできない。余震の恐怖で夜は眠れず、運動不足、避難所生活でのストレスなどが血圧を高めている。開業以来10数年使っている血圧計で測定したが、こんなことは初めて」と感想を話した。
 
4月10日(日)
 2日目、9時30分頃に名取市文化会館へ。414人の方が避難している。初日同様、3班に分かれて1時間半ほどかけて巡回し、医療ニーズを探った。
中津先生は避難所に詰めていた看護師と共に巡回。「子どもが日に何度も鼻血を出す」「足がパンパンにむくんでいる」などの訴えが避難者から出され、看護師と相談しながら対応していった。
また歯科では避難所に詰めている歯科衛生士と共に巡回。「治療通院していた歯科医院が地震で潰れてしまった」「歯医者さんの所においてあるハブラシが欲しかったところ」「小さい子ども用のハブラシを下さい」などの相談を受けた。
「保険でより良い歯科医療を」兵庫連絡会も、歯ブラシ1000本を寄付した。

2日間の医療支援活動を通じて、参加者からは「避難所の医療ニーズは極めて高い。保団連として継続的な医療支援が必要」が寄せられた。

2011.4.11
兵庫県保険医協会事務局 楠 真次郎