2011年3月18日金曜日

現地レポート⑦ 保団連先遣隊が福島に到着、現地協会を激励


酒井福島協会理事長・菅原同事務局長を激励
支援物資や見舞金を手渡した
住江憲勇会長を先頭とする保団連災害先遣隊は18日、福島協会事務所を激励訪問し、福島協会会員と被災県民に深く哀悼とお見舞いを述べるとともに、食品、衛生材料、水などの物資を提供した。

菅原浩哉事務局長は、「安否確認をはじめたばかり。まだ何から始めていいかわからない。電話は不通状態が続いているので、ファックスで安否確認したが、1470人会員のうち、回答したのは18日現在386人。浜通り(沿岸部)は原発の状況悪化で全くつながらない。相馬市は市民がいっせい避難して、開業医はいない状態。警察医を担う会員だけが、遺体検視や救急対応のために泣きながら治療に当たっている。県外に避難している会員には連絡のつけようもない。ライフラインも寸断されたままで、協会事務所もまだ断水している。ガソリンもなく、移動手段すら奪われている」と窮状を訴えた。

酒井学協会理事長は、住江会長の激励訪問を受け急遽電話で対談、激励に感謝を表明するとともに、診療所のガス配管が壊れて使えないことなど現状を伝えた。住江会長は、「全国の協会と協力して全力で福島協会を支えること、必要な要望はなんでも聞いてほしいこと、会員医療機関の一日も早い復旧・診療再開が、地域の住民の健康を守ることに繋がることを知らせて欲しい。協力を惜しまない」と連帯の思いを伝えた。

兵庫県保険医協会 事務局 小川昭



17日の宮城県・松島海岸の様子
悲惨な状況だが、この地域の被害は比較的軽微だった

現地レポート⑥ 井村春樹先生から(3/15)

尼崎医療生協病院の井村春樹先生からいただいた3月15日時点の現地の状況です。


(3月15日 午後12時現在)

 現在の状況を発信いたします。
 ご心配をおかけしました透析患者さんについては仙台の北部などでも再開ができそうな状態になってきていること。また挫滅症候群のような緊急で透析が必要な患者 さんの数自体がそこまで多く出ていないことなどから宮城は県内のみで透析ができそうな状態となってきております。
 また、各地で続々と多数の遺体が確認されているという状態であるとの情報が確認されております。
 被災地の援助に緊急で入った方々がいったん帰宅するという段になってきており、福島の原発での出来事が心配されております。現地では雨も降ってきており、病院は現在、地下水をくみ上げて利用しているのですが、それらが汚染されないかという懸念もあります。
 引き続き、落ち着いた状況下では情報発信させていただきたいと存じます。原発関連の情報提供などがいただければ現地では非常にたすかります。
 よろしくお願いいたします。


(3月15日 午後3時現在)

 本日、死体検案のお手伝いに行ってまいりました。
 現場に入った瞬間、言葉を失いました。この感情は言葉では到底言い表すことができません。
 亡くなられた方には心よりお悔やみを申し上げます。
 印象としては特にADLの低下した高齢者の方が多く犠牲になられています。
 中には小児の姿もありました。しかし、40代~50代の方もいらっしゃいました。
 身元がわからない方も多く、ご遺体を引き取れないという悲しい状況が続いているそうです。
 また、身元がわかってもご遺族が避難している状態で引き取れないという自体も多くなってきております。
 ここ3日間ほど支援活動を行っていますが、移動手段がほとんどないということです。
 阪神大震災とは性質の異なった災害が今起きていると認識しています。
 これから先は長期的な現地への支援が必要な状態であることはもちろんですが、この状況下ではプライマリケア医の力が本当に必要な状態になってきています。
 守屋先生をはじめとしたプライマリケア医の動きが現場を勇気付けていただいております。
 今後ともご支援賜りますようよろしくお願いいたします。

現地レポート⑤ 井村春樹先生から(3/14)

診療支援のため宮城県・坂総合病院に入っている井村春樹先生(協会会員・尼崎医療生協病院後期研修医)から、現地の様子を伝えるレポートをいただきました。


(3月14日 午後9時現在)

 病院で現地に支援に行くという方針となり私が派遣されております。現在は坂総合病院という病院で診療支援を行っております。
 現在の被災地の状況としては、津波災害があったところとなかったところで大きな差があります。自宅が無くなった方々と被害が少ない方々の落差が激しくなってきております。
 医療現場の実感としては外傷などの超急性期は徐々におさまりつつあります。
 津波被害にあわれた患者様は薬やお薬手帳も流されており、自分で内服した薬がわからないなどの状況になっております。(インスリンやワーファリン・降圧薬などが足りなくなっております。)また、慢性疾患の急性増悪やDKA、インフルエンザ・感染性腸炎などの震災の二次災害ともいえるような疾患が増えてきている印象
があります。
 また、避難所などへの支援も徐々に行われていますが、ミルクやおむつなど小児に関する物品が不足しているような状態です。特に乳幼児を抱えた若い家族が強いストレスをかかえています。
 高齢者のせん妄のような状態で困っている家族や自傷行為による受診も見られはじめてきており、精神科の先生方の支援が必要な状態です。
 維持透析患者さんの行き先にも非常に難渋しております。
 被災地へは電話よりもメールの方が伝わりやすい状態です。被災地では、AUやwi-fi環境でのメール連絡がしやすいような印象があります。
 また、状況がわかりましたらご連絡させていただきます。

現地レポート④ 先遣隊が宮城協会理事会に参加、現地役員を激励

現地役員を激励する住江保団連会長
宮城協会理事会は先遣隊の経験を踏まえ対策を決定した
 保団連被災地対策先遣隊は17日午後、盛岡市内の岩手協会で保団連震災対策会議に電話参加した後、一気に仙台まで南下、宮城協会理事会に20時前から参加し、現地役員等を激励した。
 理事会では災害対策に速やかに対処するために、理事者で構成される災害対策委員会を立ち上げた。今後は震災に特化した案件で会員をバックアップする。
 住江保団連会長は、「まずは会員の安否確認を。会員が仲間に支えられていると実感することが当地の医療機関の立ち直りにつながり、ひいては地域の被災住民の健康を守ることにつながる。どうか、保団連に何でも相談して欲しい」と被災した宮城協会役員を励ました。
 理事会では、今後、安否確認のために会員訪問をすすめこと、まずは必要なガソリンを優先的に入手するためにも、協会として緊急車両登録して高速道路で給油するなどの方策を採ることが、先遣隊の経験を参考に決定された。

被災地での口腔ケアにかかわって 足立了平先生からの資料提供

神戸常盤大学短期大学部口腔保健学科教授で「保険でより良い歯科医療を」兵庫連絡会の世話人を務める足立了平先生から、被災地での口腔ケアにかかわる資料をいただきました。

足立先生は阪神・淡路大震災時に被災者支援にかかわった経験から、口腔ケアの重要性を発信しつづけています。

医療支援・歯科医療支援の参考にご活用ください。


意見書
「東北関東大震災(東日本大地震)-口腔保健の重要性について」(PDF)


[ご紹介] 足立先生インタビュー 「すべての国民に良質の歯科医療を」(2011.11.5 兵庫保険医新聞1638号掲載)