2016年1月23日土曜日

第33次 東日本大震災被災地訪問活動メモ・感想

協会事務局・小川 昭



1月9日から11日の3日間、広川恵一協会顧問、林功先生とともに、兵庫県保険医協会第33次被災地訪問活動として、間もなく被災5年を迎える宮城県気仙沼市に向かい、東日本大震災復旧・復興みやぎ県民センター金田基さん、ライフワークサポート響の阿部泰幸さん、ケアサポート村上充さんらから、被災者自身の内部から復興へむかう力を引き出すという意味での「自立」をサポートしてゆく姿に学んだ。

被災者のサポートを現場で支える人々が異口同音に強調するのは、外部から上から目線で「支援」するのでは、たくましい生活力の再建、自己回復力を力づけることにはならないということ。被災者が直面する暮らしの中で刻一刻と変化しながら現れる具体的ニーズに向き合ったサポートこそ、「被災者に寄り添う」ことであろうと感じ、ボランティアの方と被災者が罹災後に気づきあげてきた信頼感の強さに触れるにつけ、「人を救うのは人」「人と人のつながり、ネットワークこそが命を、暮らしを守ること」につながる、と心に浸みた。

南郷住宅(災害公営住宅/復興住宅)の鈴木さんからは、311の生々しい津波被災体験と、避難所での生活困窮、上京していた息子さんとの連絡の困難、昨年末にやっと入居できた復興住宅での暮らしぶり、家計の状況と医療窓口負担減免などの支援の必要性について伺うことができた。

赤岩・牧沢テニスコート仮設住宅の小野さん、本吉・小泉地区のモリヤ(守屋)さんから教えていただいたのは、復興住宅建設や防災集団移転が時間との闘いでもある点。巨大防潮堤建設やショックドクトリンといわれる復興事業に名を借りた大型開発行政が、生活に密着した住宅や道路などのインフラ整備が遅れる原因になっている。111日付河北新報1面に特集されているように、復興住宅でも集団高台移転でも当初の希望者が待ち切れずに別の生活再建を選び、皮肉なことに「空き」が発生していることはその象徴といえる。加えて、東北地方の医師不足による不安定な診療体制、被災者の長くつづく経済的困窮は、医療費免除の継続や拡充を喫緊のものにしている。いずれもが、大切な問題提起であった。