2014年9月2日火曜日

東日本大震災 現地レポート53

被災地と連帯し復興運動を
須磨区・歯科 加藤 擁一

 東日本大震災から、はや3年半が経つ。私自身、4度目になる被災地訪問をさせていただいた、報告と感想を述べたい。

 初日は、石巻、女川地域を訪問した。この地域は、私は被災直後の2011年に訪問して以来、3年ぶりである。泥とがれきに覆われた当時から、どのように復興しているのかを見聞きしておきたいと思い、出発した。途中の田園風景はのどかで、田んぼに漁船が転がっているような、3年前の息をのむ光景はさすがにもうない。住民の足であるJR仙石線は、待望の全線復旧が来年叶うそうである。
 その石巻駅前で、被災者たちの心のケアに取り組んでおられる、「からころステーション」を訪れた。仙台市でメンタルクリニックを開業する原敬造先生が、震災直後から立ち上げた「からだとこころの健康相談所」である。
 被災者はさまざまな悩みを抱えているが、いきなり被災地に乗り込んで「メンタルヘルス」と言っても、心を開いてもらうことはできない。まず、相談活動からということで、仮設住宅訪問、相談会、コンサートやカフェなどを、日常的な活動としておられる。アルコール依存症や、うつ病など、当面するさまざまな問題への取り組みを報告していただいた。地道な活動に敬服する。
 原先生の話を聞いた後、職員の方の運転で、女川町周辺まで被災地を案内してもらった。女川では、被災した旧町立病院が、昨年秋より介護施設と一体化した地域医療センターとして再スタートしていた。水産業も少しずつ復興しつつあるようで、漁港の食堂でおいしい海鮮丼を食べることができた。
 しかし、その先の雄勝町や北上川河口の大川小学校のあたりに来ると、まだ、津波の爪痕がはっきり残っていて、復興の厳しさも実感する。

 2日目は、仙台市内にある「あしなが育英会・レインボーハウス」を訪問した。この3月にできたばかりの真新しい施設を見学させていただいて、震災遺児たちの心のケアの取り組みを中心に話をうかがった。
 子どもたちの持つトラウマの現れ方はさまざまであり、難しさとやりがいがある。震災で約1700人の遺児がいるとされているが、その多くは親戚に引き取られ、実態が把握しにくい部分も多いという。長期的な支援活動が必要なことを強調されておられた。

 阪神・淡路の震災を経験した私たちは、これからが復興の正念場であること、被災者の生活再建こそが復興の中心課題であること、被災3県が進めている、医療費窓口負担免除継続の運動の重要性を訴えてきた。

 兵庫県でも、現在、借り上げ復興住宅からの被災者追い出しが大きな問題になっている。私たちも震災復興運動の道半ばにいる。連帯して、運動を進めていくことが大事と感じて帰路についた。