2012年3月28日水曜日

談話

東日本大震災から1年
支援続け、教訓生かそう
兵庫県保険医協会
理事長 池内 春樹

 東日本大震災から1年が経過しました。震災で亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、仮設住宅にお住まいの皆さまや県外へ避難されている皆さま、全ての被災者の皆さまに、兵庫県保険医協会を代表して心からのお見舞いを申し上げます。協会はこれからも、全国の先頭に立って皆さまを支援させていただく決意です。
 昨年10月、岩手県陸前高田市を中心に被災地を視察させていただきましたが、がれきの処理もままならない状態でした。仮設住宅も訪問させていただきましたが、簡単な基礎の上にプレハブ住宅を乗せている構造で、余震や冬の寒さには不十分に見えました。
 避難所になった高台の中学校では、子どもたちが草花を植えているのが印象に残りました。3月は卒業式の季節です。あの草花は北国の寒さに負けず咲いているのでしょうか。
 阪神・淡路大震災でもそうですが、被災した子どもたちが笑顔を取り戻し、ふるさとを再生していくことが復興の要です。子どもたちがふるさとを誇りに思うように自然や歴史を教えましょう。
 阪神・淡路大震災では全国からボランティアが集まり、「ボランティア元年」と呼ばれました。個人補償はしないという国の厚い壁に、みんなの努力で「被災者生活再建支援法」という風穴をあけることができました。
 しかし、孤独死や借り上げ住宅からの追い出しなど、17年たってもコミュニティーを再建する復興は道半ばです。「創造的復興」などではなく、一人ひとりの住民が再生できる人間復興をめざしましょう。
 東日本大震災では、地震だけでなく巨大津波や原発事故が発生しました。医療支援では、兵庫県医師会を中心とする医療支援チームが活躍しました。地元では、高台に新築移転していた石巻赤十字病院が大活躍しました。協会も、地震発生直後から今日に至るまで何度も被災地へ医療支援に入らせていただきました。
 今後起こるであろう東海・東南海・南海大地震への教訓として、津波対策や原発対策は重要です。兵庫県は、県立こども病院をポートアイランドへ移転しようとしています。県立淡路病院も、現在地より海沿いに移転させます。
 関西電力の福井の原発群が放射能漏れを起こせば、近畿の水がめ琵琶湖が汚染されます。子どもたちの未来を守るため、こども病院の現地建て替えや脱原発の世論を広げましょう。