2011年5月20日金曜日

現地レポート33 岩手県の14医療機関を訪問 沿岸部の早期復旧を求める声

 5月17日(火)は、岩手県北上市内の会員医療機関14件を兵庫協会事務局・足立と青森協会・新谷事務局員が訪問した。県内陸部の北上市では、震災による被害は比較的軽微なものの、訪問した会員の中には県沿岸部で津波により親族を亡くされたとの報告があり、国に対して津波被害が甚大な沿岸部の早期復興を求める声が寄せられた。以下、報告する。

1、M歯科
 震災当初、停電と断水により数日間休診した。診療所はカルテ棚が倒れた程度。原発事故による放射能被害が心配。震災以降、患者が減っているのが心配。
2、Hクリニック
 事務長が対応。被害は軽微。沿岸部で被災された透析患者の受け入れる準備をしているが、今のところ被災者は診ていない。
3、S歯科
 天井に少しヒビが入ったが、被害は軽微。被災された患者を数人診ている。ある被災患者より窓口負担免除が7月までとの通知を知り、「入れ歯を7月までに作って欲しい」との依頼があった。被災者に対しては、一律に期限を決めるのではなく、当面は無条件で窓口負担を免除にすべき。被災された患者さんこそちゃんと診療をしてあげたい。
4、S内科
被害は特にない。
5、E歯科
 事務員が対応。照射器など医療機器が破損。待ち合い室にヒビ。お見舞金をお渡しした。
6、A歯科
 受付対応。3月15日から診療再開。特に被害はなかった。
7、O内科
診察室にヒビ。地域医療を守るために何とか今が踏ん張りどころ。阪神・淡路大震災と比較して復興のテンポが遅い。遠方からの支援に感謝する。
8、F歯科
 受付対応。特に被害はなかった。
9、W歯科
待ち合い室にヒビ。断水と停電により5日間休診した。
10、I歯科
 停電とボイラー故障、またガソリン不足のためスタッフが通勤できず数日間休診した。4月17日から19日まで県沿岸部に医療支援に行った。震災後一カ月もすると、入れ歯のメンテナンスなどで不具合を感じている被災者が多かった。あらためて被災者の口腔ケアの重要性を痛感した。今後も被災者支援は続けて行きたいと思う。
11、T歯科
 診療所は特に被害はなかった。実母と実兄弟が実家の大船渡市で津波に流された。震災後約2カ月経つが、沿岸部の状況は全く変わっていない。沿岸部の被災者は瓦礫の中で途方に暮れているのが現状。国は早急に復興支援すべき。
12、F歯科
 ファイル棚が倒れた程度で特に被害はなかった。
13、S歯科
 パノラマレントゲンが倒れて故障、壁にへこみ。2日間休診した。沿岸部の被災医療機関に見舞金をカンパしたい。
14、Tクリニック
ファイル棚が倒れた程度で特に被害はなかった。沿岸部特と内陸部では被害の性格が全く異なる。沿岸部の被害と比較して被災したという意識はない。この間、数回沿岸部へ医療支援に行った。震災により自治体自身も被災したため、ボランティアを束ねるコーディネーターが不足している。その点では阪神・淡路大震災での経験を活かすことが必要ではないか。ボランティア間の連携が今後の課題であると考える。沿岸部では町自体が壊滅状態で地域のコミュニティも破壊された。生活再建が喫緊の課題である。沿岸部で開業していた友人は、津波で診療所が流された。まだ開業して4年目で二重ローンなど資金の問題、町の復興の目処がたたない状況で再起するかどうか悩んでいる。国は財源度外視で早急に復興支援すべき。

2011.5.19
兵庫県保険医協会事務局 足立俊彦

現地レポート32 岩手県内陸部の会員訪問

 保団連の岩手県保険医協会支援隊として、兵庫協会事務局・足立をはじめ、青森、東京、石川の各協会から4人が5月16日(月)、岩手協会に到着した。
最初に岩手協会から、全985会員医療期間のうち津波被害が甚大であった県沿岸部を中心に全半壊約60件、一部損壊は100件、また、会員のうち死者・行方不明者8人との被災状況報告があった。
  今回は、被災状況の確認が取れていない県内陸部(北上市、花巻市)の約80件を会員訪問し、被災状況を確認のうえお見舞金を渡し、要望を伺う。
  この間、岩手協会には会員から、①被災患者の窓口負担免除などの保険請求上の取り扱い、②施設、医療機器の補修のための資金確保など問い合わせが寄せられている。訪問時には合わせて上記2点についての情報提供と震災特別融資へのニーズも把握する予定 。